ヤクザが手間暇かけても援デリをやるワケ。出会い系でネカマ行為まで…
「恥ずかしいかって? “シノギ”やで? やるしかないやん」
大阪南部のターミナル駅前にあるマンションの一室で、室田氏(仮名・27歳)は、もう十数時間もパソコンの前に座り、メッセージのやり取りをしたり、二時間に一度くらいのペースでかかってくる携帯電話の着信に応対する。
室田氏は、関西に拠点を置く指定暴力団傘下の団体に出入りする、いわゆる“半グレ”構成員だ。本物のヤクザになった経験はないが、高校を卒業して以降、構成員だった先輩の手伝いをしているうちに、組事務所にも出入りするようになっていた。そんな氏が今やっていることといえば、男相手に、いわゆる「ネカマ(※男がネット上で女性になりすます行為)」メールを送りつけやり取りをし、そして客を引っ張ってくるという、“シノギ”としては情けないように思えるが……。
「ワシかてこんなんしたないっちゅーねん! ただ、他になんもやることあれへんやろ? あと、パソコンとかスマホとかわからん奴多いねん。風俗のケツ持ちだって今は表立ってできへんし、そんなら援デリやるかって」
室田氏は、巷で言うところの「援デリ業者」だ。援デリとは、援助交際を装ったデリバリー(派遣型)風俗店のことで、中には管理売春まがいのことをやっている違法業者も存在する。室田氏の場合、元々は自治体への届け出も出している正規の風俗業者だったが「援デリのほうが客が入る」と聞きつけて以降、本業の方の女のコを援デリ店でも働かせている。
要は、同じ女のコたちが正規の派遣型風俗店で働いているか、援交風に客を募っているか、ただ看板が違うだけ、ということだ。しかし、後者の方が圧倒的に手間暇がかかるという。
「デリヘルならホームページ出して待っときゃええです。最近は暇な女のコにチャットやらせて稼がしたり、ブログ書かせたりね。援デリは、掲示板やらSNSへの書き込みもワシらがせんといかんのです。キッショい男とやり取りするだけでもキツい……。一日中パソコンパチパチ、携帯ポチポチやりよるからな、指紋が消えてまいそうやって(笑)」
わざわざ手間暇のかかる「援デリ」などせずとも、本業のデリヘルだけやっていた方がいいのではないか? それとも援デリはそんなに稼げるのか? そんな疑問をぶつけると……。
「スケベな奴ほど、素人を好みよるからな(笑)。プロのかわい子チャンより、ツラは普通でも素人のがいいなんて奴もおるからな。未成年やで、って匂わすと10万でも払う奴はおる。んで、中国のSNSから使えそうな、可愛くてエロそうな女の子の写真引っ張ってきてね、『ウチ今下着なんよ』なんて写真送ったりして……。実際に会いに行くのは店の子ね。相手は援交や思いよるから、写真と違っても文句も言われへんやろ。デリのHP見て『人が違う金返せ!』みたいにクレーム入れてくる奴はおってもな、援交で文句言うてくるようなバカはおらん。人気のない子は援デリで儲けてもろうてるで」
上には上がいる、ということを思い知らされるような実情であるが、いわゆる「援デリ」は、そのほとんどが、このような「反社団体」によって組織的に運営されているという。違法世界に淡い夢を抱けば、火傷をするのはあなた自身である。
<取材・文/伊原忠夫>

ヤクザが出会い系でネカマ行為まで…援デリの裏側とは?
スケベな奴ほど“素人”を好む
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