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駐車場の「放置自動車」は勝手に撤去できない!? 裁判で200万円請求された例も

 10年以上も無断で放置、中を覗けば大量のゴミ……。大型スーパーやコインパーキングにそのまま置かれた放置自動車が、ここ数年急増し、問題となっている。駐車場は私有地のため、他人の所有物である車はいくら不利益を被ったからといって勝手に処分すれば法律的にはアウト。この“法律の壁”が問題をこじらせているのだ。 放置自動車 放置自動車の撤去を請け負う東京の業者、ジャスティス・サポートの石川浩道代表に放置自動車問題の現状を聞いた。 「コインパーキングはもちろん、スーパーや空港の駐車場などを含めて常に月200件ほどの案件を抱えています。放置自動車のもっとも厄介な点は、実害があるにもかかわらず、民事なので万引きのように警察が介入してくれないこと。訴えても、せいぜい威力業務妨害か営業妨害の範疇でまず起訴されません。では、独断で撤去していいかというと自力救済の禁止(法的手続きを取らずに権利を実現することを禁じた原則)に抵触し、逆にオーナー側が器物損壊や横領で訴えられる危険性がある。つまり、完全に“やられ損”というわけです」  放置された側としてはたまったものではないが、こうした弱味に付け込んだ悪質な業者も増え、放置自動車問題はさらにカオスの様相を呈し始めている。 「裁判対策をせず、撤去責任を駐車場オーナーに被せて車だけ持ち去ってしまう。オーナーは放置自動車の権利者が言いがかりをつけてくるなど想定外ですから、気軽に頼んで、後で泡を食ってしまうわけです」(石川氏)  実際に裁判になり、廃車同然の車を勝手に撤去して200万円近く請求され、支払うことになったケースもあるという。これらの対策については、関係省庁の対応は手つかずの状態。解決策やガイドライン作りが急務だ。 レッカー取材・文/SPA!放置自動車問題取材班 写真提供/ジャスティス・サポート ※『週刊SPA!』10/24発売号の特集「[放置自動車]の呆れた実態」より
週刊SPA!10/31号(10/24発売)

表紙の人/ 松岡茉優

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