カーライフ

空ぶかしで威嚇のレビンや隊員に猛抗議のメルセデス「首都高年越し大検問」に完全密着<第3回>

 毎年、大晦日から元旦にかけての深夜、警視庁高速道路交通警察隊(高速隊)は首都高を走行する不正改造車の大がかりな取り締まり検問を実施する。2008年から続く恒例のゆく年くる年大検問大会だ。首都高の走り屋さんにはその存在は広く知れ渡っているが、それでも特攻してくる男気のあるヤツは現れるのか。当日の準備から撤収まで、警視庁高速隊新富分駐所に張り付いて年越し取材した完全密着ドキュメントを3回にわたってお届け! 今回が最後です。

胸躍る看板。ルーレット族対策交通規制中。なんと甘美な響きだろうか

2:48 「パトカー、いったん停車します」  数回目のセーフティカー導入。これまではこのまま車列を先導してゆっくり進むのだが、マイクパフォーマンスとともに本線上にストップしてしまった。

セーフティカー役のレガシィ白黒パトカーが本線上で停止!

 続けて「エルグランドの後ろの白のメルセデス・ベンツの運転手さん、警察官の指示に従ってください」。  ドライバーがごねてる? 車検会場入りを拒否してるのか? 急いで新金橋を渡り首都高をのぞき込むと、そこにはメルセデスを取り囲む5人の高速隊隊員の姿があった。

ボディに貼ってあるステッカーは画像処理してあります

 残念ながら会話はまったく聞こえない。もどかしい。高速隊隊員がドライバーを説得してるのか? メルセデスにはステッカーチューンはしてあるものの、不正改造車には見えない。  この間、首都高都心環状線内回りは京橋出口付近を先頭に完全にストップ! 車列の後方ではクルマから降りているドライバーもいた。 2:59  メルセデスを取り囲んでいた高速隊隊員がようやくクルマから離れ、車列は再びゆっくりと進み始めた。  てっきりメルセデスのドライバーが説得に応じ、車列を離れて車検会場に引き込まれると思いきや、なんとそのまま本線を走行して通り過ぎてしまった。いったいなんだったんだ!?

車検会場を素通りしていくメルセデス

 しかしその1分後、車線規制してある側の本線を逆走ならぬ“逆歩”してくる男が現れた! メルセデスのドライバーだ! 慌てて駆け寄る高速隊隊員!

メルセデスは車線規制が解除されるところに駐車してあった

 高速隊隊員の制止を振り切り、ズンズン逆歩してくる男! 猛抗議している! 断片的にしか聞こえないが 「クソッて言われたんだよ!」 「ドライブレコーダーに全部残ってんだよ!」  怒り心頭だ! なにが発端かはわからないが、どうやら高速隊隊員の言葉遣いと態度にカチンときたらしい。

気に入らない高速隊隊員のほうを指さし猛抗議! 制止する審判! 故・星野仙一監督を彷彿とさせる。合掌

 抗議は約5分間続いたが、高速隊隊員が必死でなだめて事なきを得た。なだめ方からすると、このトラブルの過失割合は10:0とまで言わないが、8:2くらいで高速隊隊員のほうが悪いようだ。  とにかくここまで怒る原因が知りたい! メルセデスのドライバーさん、ドライブレコーダーの映像をぜひYouTubeにアップしてね。

高速隊隊員に肩を抱かれ、クルマに戻るメルセデスのドライバー

3:19  通常営業に戻った大検問。ここで1:35に車検会場入りしたトヨタ・レビンにようやく解放されるときがやってきた。2時間弱拘束されてたことになる。車検を終えたクルマやバイクは、首都高に再び合流することは許されず、京橋出口から退場となる。  レビンのエンジンがかかる。排気音が勇ましい。とここで、ドライバーが空ぶかし! ブォンブォンブォン! すかさず高速隊隊員に囲まれる。お説教だ! マフラーが不正改造に認定され、ノーマルに戻しなさいとの改善命令が出たに違いない。その最後っ屁の空ぶかし。

それでも京橋出口から爆音を響かせながら出ていきました

3:57  メルセデス事件を境にセーフティカーは導入されず、車検会場に引き込まれるクルマやバイクは1台もない。渋滞もなくなった。しかしまだ終わる気配はない。5時くらいまでやるのかな。  大検問が終盤にさしかかったというのに、ここからまたギャラリーが再び集まりだした。千葉ナンバーのミニバン5人組、大宮ナンバーのミニバン3人組など、新金橋ギャラリースタンドは十数人でにぎわっている。 4:04  突然、バルーン投光器消灯! 終了だ。撤収が始まった。自動車検査官の皆さんは3台のクルマに分乗してお帰りに。お疲れさまでした。 4:20  高速隊隊員が集合する。終礼だ。首都高年越し大検問は無事、幕を閉じた。  終礼を見届けて、我々も撤収。元旦早朝、オフィス街・京橋に空いているお店は皆無。有楽町までトボトボ歩いて24時間営業ジョナサンに。激込み!  撮影した画像1500枚。そこからセレクトして画像処理。すべてが終了してジョナサンを後にしたのが7:00すぎ。自宅に帰ってドアtoドアで12時間。“警視庁24時”には及ばなかった。無念(終わり)。 <取材・文・撮影/SPA!覆面パトカー愛好会>
おすすめ記事