世界に比べ制限速度が低すぎる!? 日本警察のスピード違反取り締まりは“ガラパゴス状態”
多くのドライバーが不満を持っている、警察によるスピード違反の取り締まり。その背景には、実態に合わない制限速度や、公平でない抜き打ち的な取り締まりがある。その理不尽な実情を専門家に聞いた。
モータージャーナリストの清水草一氏は、「日本の警察の取り締まりは“ガラパゴス状態”」と語る。
「ヨーロッパでは一般道の制限速度をフレキシブルに変化させています。例えばドイツでは、郊外では最高100km/h、市街地は原則50km/hに設定し、韓国でも一般道の制限速度は80km/hです。制限速度の設定は、日本で最も頑迷固陋な“お役所中のお役所”である警察庁(公安委員会)の専管事項。国家公安委員会委員長だった古屋圭司氏の問題提起(※)で一部改善の兆しは見られますが、北海道をはじめとしてまだまだ不十分です」
清水氏は「流れに乗った制限速度オーバーより、無謀な追い越しのほうがはるかに危険であることは誰にでもわかる」と強調しながら、高速道路と一般道の中間的存在として「快速国道」を提案する。
「北海道内の道路の最大の問題点は、制限速度があまりに低いこと。あんな道路を60km/hで走れというのは、現在のクルマの性能や人間の本能に照らして、明らかに不条理。しかし2~3割のクルマは制限速度付近をキープしているため追い越しが多数発生、警察のネズミ捕りが逆に事故を増加させているようです。利用されない高速道路の建設を中止し、国道のあちこちに追い越し区間を設置、制限速度を実態レベルに合わせた『快速国道』の設置を進めるべきです」
現在の制限速度は、クルマの性能も道路事情もまったく違う50年以上前に決められた。中には70km/hや80km/hに引き上げられた一般道もあるが、まだまだ少ない。特に北海道では、実態レベルに合わせて一般道を「快速国道」に改良したほうが、バカ高い料金を取られる高速道路よりはるかに便利ではないか?
「道路公団民営化が成功した今、日本の道路改革の最大の抵抗勢力は警察ということになるでしょう。快適な道路環境を実現するためには、警察の意識改革が不可欠だと考えています」(清水氏)
(※)警察庁を管理する国家公安委員会委員長だった古屋圭司氏は’13年6月4日、実態に合わない制限速度について「危険もない直線道路で制限速度20km/h超過を取り締まるのはどうか。真に事故抑止に資する取り締まり、取り締まられた側が納得できる取り締まりのために場所、時間帯、方法を見直していく」と苦言を呈している
取材・文/横田一 写真/SPA!覆面LOVE隊
― 日本のスピード違反[取り締まり]に異議あり ―ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
低すぎる制限速度が危険な追い越しを誘発
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