RX-7、シルビア、スカイライン、スープラほか不正改造車が御用!「首都高年越し大検問」に完全密着<第2回>
―[首都高年越し大検問]―
毎年、大晦日から元旦にかけての深夜、警視庁高速道路交通警察隊(高速隊)は首都高を走行する不正改造車の大がかりな取り締まり検問を実施する。2008年から続く恒例のゆく年くる年大検問大会だ。首都高の走り屋さんにはその存在は広く知れ渡っているが、それでも特攻してくる男気のあるヤツは現れるのか。当日の準備から撤収まで、警視庁高速隊新富分駐所に張り付いて年越し取材した完全密着ドキュメントを3回にわたってお届け! 今回は第2回です。
2018年1月1日 0:00
新年あけましておめでとうございます!
このとき我々取材班は、警視庁高速隊新富分駐所と首都高都心環状線外回りに隣接する新金橋児童遊園にいた。目の前で繰り広げられる首都高年越し大検問にワクワクしていたので、年明けに気がついたのは0時を4分すぎてから。カメラマンと新年のあいさつを交わし、再び真向かいにある検問会場・高速隊白魚橋基地を凝視した。
0:30
新年カウントダウンを待たずに始まった大検問は、30分以上経過してもまったく動きなし! しかし! キャラリーには動きあり!
大検問スタート直前という絶妙のタイミングで現れたカメラ2台持ちの筋金入りマニアに続き、新金橋には続々とギャラリーが詰めかけ、このときすでに十数人に膨れ上がっていた。NHK『ゆく年くる年』を見るよりは、こっちのほうが胸躍るからね。通りすがりの外国人観光客の団体さんも足を止めて、興味深げだ。
ではここで、大検問の簡単な概要をご説明いたしましょう。
対象路線は、首都高都心環状線内回り。外回りは対象ではないが、白黒パトカーと覆面パトカーが常にパトロールしている。検問会場は、京橋出口に隣接する警視庁高速隊白魚橋基地。普段はパトカーなど警察車両を駐車するスペースが待機所。白黒パトカーはじめ覆面パトカーなどを納めるマニア垂涎のお宝ガレージを利用して無料車検コーナー(検査場)を特設。ただし、ブルーシートで全面目隠しされているので、覆面パトカーを拝むことはできない。
車両の引き込みは、白魚橋基地の数百メートル手前から都心環状線内回り2車線を1車線に規制し、不正改造と思われるクルマとバイクを1台ずつ検査場に誘導して違反を特定する。そして検査場にいる自動車検査法人関東検査部と国土交通省関東運輸局の自動車検査官が厳しい目で車両を検査する。
おもな検査項目は、運転免許証と車検証の確認に始まり、スモールランプ、ヘッドライト、ウインカー、ブレーキランプなどの灯火類、ウインドウのフィルム、エンジンルーム、マフラーと排気音の音量測定、車高(最低地上高)などである。
不正改造があれば、国土交通省が道路車両運送法に基づく整備命令書を交付し、改善措置を命じる。そしてもれなく不正改造車ステッカーも贈呈される。
今回の大検問の場合は、1台ずつ検査するのでかなり待たされたようだ。そして、その後も30分ほど何ごともなかったが……。
1:06
無線連絡があったのか、なにやら高速隊隊員に動きが! と同時に、銀座方面からサイレンが聞こえる。しばらくすると橋脚の陰からクラウン白黒パトカーがゆっくりと姿を現した。
これが噂のセーフティカー導入だ!
モータースポーツファンならわかっていだだけるだろう。首都高本線上で車列の先頭を抑え、強制的に低速走行される。不正改造の疑いがある車両の逃走を防ぐと同時に、安全に白魚橋基地に誘導するのだ。
開始から1時間超。開店休業状態だった大検問会場に口開けのお客さまが来店した。
1:08
バイクでした。
がっかり。じゃなくて、ちょっと拍子抜け。どんな改造車が来るんだろうと目を凝らしていたのに。寒空の下、1時間以上待っていたのに。遠目で見る限り、このバイクのどこに不正改造の疑いがあるのかは、さっぱりわからない。ノーマルっぽく見えるんだけど。
続いて、待ち望んでいたお車でご来店のお客さまが。マツダのRX-7だ! カッコいいね
1:15
1回目のセーフティカー導入では、バイク1台、クルマ1台が特設無料車検コーナーに案内された。
十数人にまで増えていたギャラリーは、セーフティカーの導入を待たずに3人にまで減っていたが、ここで新規のギャラリー登場! 自転車に乗った親子連れだ。
未就学と思われる2人の娘を自転車の前と後ろに乗せ、お父さんの手にはしっかりとカメラが握られている。検問会場を見下ろしながら、娘になにやら説明している。新年早々こんな夜中に、しかも寒いのに、娘を婦人警官にでもしたいのだろうか。いや、これがマニアの底力だ!
1:20
2回目のセーフティカー導入!
スズキ・ラパン、スバル・インプレッサ、バイクの計3台が車検会場に吸い込まれた。セーフティカー導入のタイミングは、あらかじめ時間が決められているわけではなく、不正改造が疑われるクルマやバイクが来たときに導入されるようだ。
1:31
3回目のセーフティカー導入!
今度は日産スカイライン、トヨタ・レビン、トヨタbBの3台。のちに、この古いレビンが一波乱を巻き起こす!
1:51
「パトカーは低速で運行します。パトカーに続いて、ゆっくりとお進みください」
4回目にして初めてセーフティカーからマイクパフォーマンス。しかも女性警察官のやさしい声が深夜の首都高に響き渡る。殺伐とした雰囲気(?)が一瞬やわらぐ。対象車両はスバル・インプレッサ、日産シルビア、マツダRX-7。
しかし、この検問による車線規制と続けざまにセーフティカーが導入されたせいで、京橋出口付近を先頭に1kmほどの渋滞発生! ガラガラの首都高全線でたった1か所の渋滞!
2:19
トヨタ・スープラ入場! 手元の温度計は2℃まで下がり、しんしんと冷えてきた。セーフティカー導入→対象車両が白魚橋基地入場→待機→車検→退場。これがルーティン。ドライバーは素直に警察官の指示にしたがっているように見え、粛々と大検問は行われていく。寒さを吹き飛ばす何かが足りない!
2:48
セーフティカーが本線上で停止! この後、首都高年越し大検問最大のトラブル発生! 都心環状線内回りは約11分間にわたり完全ストップしてしまった!(次回へ続く)。 <取材・文・撮影/SPA!覆面パトカー愛好会> ハッシュタグ