雪国に比べて手薄な首都高の大雪対策。問題はほかの高速道路と違う方針?
ちなみに今回、山手トンネル内で立ち往生したクルマの乗員の多くが、トイレに行くためクルマを降り非常口へ向かったが、非常扉の内側にはトイレはない(内部にトイレを用意したら、危険なトンネル内路肩停車を招く可能性大)。外へ出て、コンビニ等を探す必要がある。また、地上への出口は、中からは脱出できるが、外からは開けられない構造になっている。つまり一旦外へ出たら、偶然中から誰かが開けてくれない限り、クルマに戻ることもできなくなる。
もうひとつの疑問は、大雪後に多くの路線で、通行止めが続いたことだ。大雪が降っている時はあれだけ通行止めを避けていたのに、雪がやんだ途端、延々丸2日近く通行止めが続くというのは、対応があまりにも後手に回っている印象を抱いてしまう。
ただ、これについては事情がある。首都高には路側帯がなく、雪はすべて“除去”しなければならない。つまり、ブルドーザー等でダンプカーに積んで運び出す必要があり、そのため一旦大雪が降ると、除雪に時間がかかってしまうのだ。
首都圏は雪が少ないため、除雪態勢そのものも、雪国に比べるとはるかに手薄。除雪に使える車両の用意も少ない。
そう言えば、運び出した雪はどこに捨てるのだろう。東京湾か?
「いえ、高架下など弊社用地に置いています」(首都高速道路株式会社広報室)
そんなに空き用地あったっけ、と思ったが、雪の置き場所に関しては問題はないという。いずれにせよ、首都高での長時間の立ち往生は、乗員に大きな苦痛を与える。ドライバー側も自衛を心がけるべきだが、首都高側も、今後は早期の通行規制を検討していただきたい。
取材・文・写真/清水草一
【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。2018年よりMJブロンディあらため永福ランプに改名。清水草一.com

今年1月10日、東京港トンネル西行きが事故による車両火災で通行止めになった際のもの。トンネル内のクルマを順次バックや逆走により脱出させたが、山手トンネルは全長18kmとあまりにも長大で、こういった対応は不可能だ

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中 1
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