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“格闘王”前田日明「『ヤッていいんだよ』というところだけが大きくなりすぎた」――最強レスラー数珠つなぎvol.16

――この連載では、「強さとはなにか」を探っています。強さとはなんだと思われますか。 前田:強さとは、しつこさです。しつこい人は諦めないでしょ。負けを認めないから、延々と努力するんですよね。しつこいフリをしている人は違いますよ。それはただのわがままです。本当にしつこい人間は、「ちくしょう。そうはいくかい。いまに見てろ」って、虎視眈々と機会を狙う。しつこくて、執念深い。それが強い人ですよ。プロレスに限らず。 ――ありがとうございました。  前田日明インタビューからほどなくして、私は自分の体の異変に気づいた。病院で検査を受けると、卵巣に腫瘍が見つかった。レントゲンを撮ると影があり、悪性の可能性が高いとのことだった。つまり、癌かもしれない。死ぬかもしれない。まだちゃんと生きてもいないのに。  死の恐怖に怯えながら、病室でUWFの試合映像を繰り返し見た。涙が止まらなかった。これが真剣勝負か否か、私にはどうでもよかった。前田日明は強い。佐山サトルも強い。プロレスラーは強い。プロレスはいつだって、私に力をくれる。それだけがリアルだった。祈るように、私はUWFの試合映像を繰り返し見た。  病気が悪性だった場合、闘病生活を送ることになる。良性だった場合……。それでも私には、「強さとはなにか?」をこの先追求していく自信がもうなかった。世界が突然、色褪せてしまった。この連載を終えようと思った。  しかし最後に、どうしてもインタビューしたい人がいる。  高山善廣――。昨年5月4日、DDT豊中大会にて頭部を強打し、大阪市内の病院に搬送された。検査の結果は、「頸髄損傷および変形性頚椎症」。その後の発表によると、呼吸もできない上に、心臓停止のトラブルも発生していた。医師の判断が「頸髄完全損傷」に変更され、現状では回復の見込みがないことが明らかにされた。  高山にインタビューができるかどうか、分からない。しかしもしできるとするなら、聞きたいことがある。「強さとはなんですか?」  生きるって、なんですか。 【PROFILE】前田日明(まえだ・あきら) 1959年、大阪府大阪市生まれ。小学校4年生のとき少林寺拳法を始め、高校時代は空手とバイクに明け暮れる。1977年、佐山サトルにスカウトされ、新日本プロレスに入団。1982年、海外修行でイギリスに渡り、「サミー・リー」(佐山サトル)の弟というギミックのもと、「クイック・キック・リー」のリングネームで活躍。1984年、第1次UWFの旗揚げに参加し、団体解散後は第2次UWFの看板選手として団体を引っ張る。第2次UWF解散後の1991年、リングスを設立。「ビッグマウス」「HERO’S」のスーパーバイザーを経て、現在はアマチュアの格闘技大会「THE OUTSIDER」を開催している。 <取材・文/尾崎ムギ子(@ozaki_mugiko) 撮影/安井信介>
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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前田日明が語るUWF全史 上

再び議論の的となっているUWFについて前田が全てを語る。格闘技プロレスファン待望の前田からの反論。全2巻1984~87年編。

前田日明が語るUWF全史 下

再び議論の的となっているUWFについて前田が全てを語る。格闘技プロレスファン待望の前田からの反論。全2巻1987~91年編。


■THE OUTSIDER 第50戦 ~有明ファイナル~
http://www.rings.co.jp/archives/7234
【開催日】3月11日(日)
【開場時間】14時00分(予定)
【開始時間】15時00分(予定)
【会場】東京・ディファ有明
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