お金

予算40万円で愛好家の評価が高い中古ベンツW124を買って失敗した話

 この時、私には2つの選択肢がありました。 修理して乗り続ける 諦めて売却する  気に入っているクルマであれば、「修理して乗り続ける」という選択肢はありますが、実は私は230Eの動力性能に不満を持っていました。アクセルは固く、ハンドルも重い230E。出足がのっそりしているだけでなく、高速域での伸びもなく、どの速度域でも遅いクルマでした。同じ4気筒でも2.2リッターのオデッセイのほうが、W124より車重が重いのにキビキビ走るぐらいです。私としては巷ではW124は最高のクルマと言われているのに、その評判にまったく見合っていないと感じていました。

エンブレムやウィンカーレンズもとてもキレイ

 ちなみに、このW124に対する評価はそれから2年後に変わることになります。3リッタークラスのW124だと、キビキビとした気持ちの良い走りとなり、なぜかハンドルもしなやかになることが判明。初代Aクラスもそうでしたが、ベンツの低出力車は安全性への配慮なのか、操作系が3リッタークラスより重く、動きももっさりしています。  脱線しましたが、話を当時の230Eに戻します。  結局230Eを売却するという選択をした私は、売り方を考えました。買った値段に近い額で売却できる可能性があるのは、代行業者を使って再度オークションに出すということですが、手数料がかかりますしクレームが来る可能性もあります。  いろいろ考えた結果、ラジエター修理が必須の230Eは、「問題あり」ということを説明して、誰かに安く譲るのが一番という結論になりました。そこで、何人か知人に声をかけたところ、1人が欲しいと言いました。「ラジエター修理が必要で、車検のときに30万円から50万円ぐらいかかるかもしれない」という説明に納得してくれた彼に、私は買った値段の半分以下の価格で譲ることを決めました。

木目パネルの割れ、シートのスレもない室内

 その後、彼は230Eのラジエターの交換をし、30万円という費用で無事車検を終えました。結果的に、私は3か月で20万円程度の損をし、友人は総額45万円で程度の良いベンツを手に入れた結果となりました。  この経験で、私が最も反省しているのは、「他人の評価軸で買った」という点。私がW124をどうしても欲しくて買ったのなら、修理代がかかったとしてもよほどのことでなければ心が折れなかったでしょう。実際修理をしたとしても、程度の良いワンオーナーのW124に総額60万円程度で乗れたことになります。しかし、私はたいして欲しくもないのに「他人が良いと言っているから」とか「安いから」という理由で購入しているため、ちょっとのトラブルでも嫌になってしまったのです。  この経験以来、私は自分が本当に欲しいものを買うように心がけるようになりました。そして、それはW124の経験から10年以上経った今でも変わることがありません。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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