18歳で「50万円の中古ロールスロイスをネットで買った」男の話
―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―
腕時計投資家の斉藤由貴生です。最近、小学生の頃をふと考えてみたら、駄菓子屋さんに行ったときの楽しさを思い出しました。その頃、月1000円程度の限られたお小遣いのなかで、いかにパフォーマンス良く買い物できるかを競い合っていました。お菓子の数重視派もいれば、クオリティ優先派も存在。どれだけ良くセレクトできたかをみんなで自慢し合ったりしていました。しかし大人になるにつれて、かつて考えて消費していた人たちは「みな考えなくなっている」ように思います。
私は、小学生のときに駄菓子屋さんでお菓子を買った時のように、同じ予算なら最大限良い選択をしたいと常に思っています。その結果、腕時計もクルマも本来「浪費」となりがちな高級品をお得に楽しむことを実現したいと努力しています。
そんな私が18歳のとき、免許をとって初めて買ったクルマがこのロールスロイスです。
小さい頃からクルマが好きで、ずっと免許が取れる年齢を待ち焦がれていた私は、小学生のときから自分が買う車を常にシミュレーション。そして、その結果ロールスロイスを持つことだって可能だと考えたのです。
そして私が18歳で免許をとって2か月ほどたったとき、ネットの個人売買でたった50万円で売りに出されているロールスロイスを発見。すぐにメールを出すとそのオーナーから私に譲ってくれる旨の返事が届きました。
そのロールスロイスは、走行距離が13万kmというモノだったのですが、前オーナーが乗っていて不具合がなかったということと、内外装がとてもキレイだという点から「安い」と判断。また、年11万1000円という自動車税はすでに支払い済みで、50万円のなかに含まれているということも良いと思いました。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1341285
クルマを引き取ったき、私は初めて運転するロールスロイスの大きさと独特なブレーキタッチに苦戦しながらも、その世界観に酔いしれていました。なんて良い買い物をしたのだろう、私はそう思ったのですがその幸せに浸って入れる期間は少しの間しかなかったのです。
このクルマ、車検は1か月以内に切れるとのことで、引き取ってから2週間程度しか猶予がない状態。前オーナーが安く済ませることができたというショップも紹介してもらったのですが、ロールスロイスに詳しい知人の「ロールスロイスベントレーは専門工場じゃないとダメ」という意見に従って、ロールスロイスを得意とする整備工場に依頼することにしました。
そしてそのショップは「やってみないとわからない」という理由で、事前の見積もりなく、整備が終わったときに金額がわかるという仕組み。前払いで重量税と自賠責保険の約10万円を支払ったため当初、私はそれが車検費用かと勘違いしていました。専門ショップで10万円で済んだと喜んだのはつかの間、1週間後にショップから連絡があり、整備費用が80万円だということを伝えられたのです。
50万円で買ったクルマの車検費用が合計90万円。私は唖然としましたが、もう整備が済んでしまっていることもあり、キャンセルとも言えず支払うしかありませんでした。
そして、車検から戻ってきたロールスロイスは、それまでの支払額50万円のクルマから、一気に140万円相当のクルマとなってしまったのです。それでも一般的なロールスロイスよりは安いでしょうが、50万円で買えば近い額で売れるのではないかなどと考えていた私の計画は完全に狂いました。ずっとクルマを買う前からしていたシミュレーションがいかに甘かったかを後悔し、本当に落ち込みました。
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある
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