性依存症になった僕の狂った日々。そして最後に行き着いた救いとは
居酒屋を飛ばして直接カラオケに行くようになり、ホテル代をけちってカラオケ屋でSEXをするようになり、やがてそれも面倒くさくなって、行き着いたのがマンガ喫茶だ。路上で声をかけてそのままマンガ喫茶にいってSEXをする。
初対面で30分後に挿入して、そのまま連絡先を交換するともなく別れることもあった。
もちろん、うまくいかないことも多い。でも路上にでて女の子に声をかけ続けて、欲望を全開にすること自体が快感だった。お金も地位も名誉も車も有名人の知り合いも、なにもない。名前すら知らない。でもそんな僕と、粘膜を接触させて快感を共有してくれる。胸の中にぽっかりと空いた穴が埋まる気がした。そのときだけは、白黒にしか見えていなかった世界が鮮明なカラー映像に変わった気がした。
自分の存在そのものが肯定される感覚。でもSEXが終わると途端にむなしさに襲われた。
できるだけたくさんの女のコとしたいのか? できるだけ手の届かない女のコとしたいのか? どれも違う気がした。私は愛がほしかったのだ。でも不特定多数の相手とどれほど粘膜を接触させても愛は得られない。
数年後に、ナンパで出会った女のコと私は結婚した。
結婚して守るべきものを持てば、胸に空いた穴は埋まるんじゃないかと。やがて2人の子どもたちを授かった。2人とも女の子だった。それまでSEXをしたどんな女の子よりも可愛かった。世界が変わった。興味を持ったこともなかった政治の話が昼食のメニューのように身近に感じられた。虐待やいじめのニュースを見ると涙が流れるようになった。
そして不安が膨らんだ。
この子たちが、私と同じような寂しい大人になったらどうしようと。私みたいな男にマンガ喫茶に連れ込まれて、あれこれされたら…と思うと、さすがに不特定多数の女性たちとのSEXを続けることができなくなった。やがて私は代わりに、十数年ぶりに女装をするようになった。私は女の人が大好きだ。でも諸事情あって女性とSEXができないなら、自分が女性になってしまえと思ったのだ。
私はいつまで経っても愛のことがわからない。わけのわからない寂しさを、胸の中に空いた穴を埋めようとアルコール、性に求めたが、埋まることはなかった。でも女装をしているときは、その穴が一瞬、埋まった気になることがある。
「女装をしている自分とSEXがしたい」
それがいまの私の一番の願いだ。
<文/仙田学>
無駄遣いをしないための「単純作業」
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