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新卒1年で会社を辞めて実家暮らし。中央大卒のニートが「自分を責めるのをやめた」ワケ

 ゲームや動画コンテンツなど、自分の趣味に没頭し、有意義な時間を過ごす“自己選択型ニート”がネット上で目立っている。  その代表的な例は京都大学卒の高学歴ニートpha氏(@pha)だろう。彼はこれまで「働く必然性のなさ」についてテレビや雑誌で独特の論を展開し、たびたび物議を醸してきた。  しかし、そんな充実したニート生活を謳歌する人がいる一方、友人や仲間と群れることなく、社会の片隅でひっそり時間をやり過ごしているだけのニートたちも存在している。

タバコもスマホも断ち切ったニート生活

 中央大学卒業後、築地に本社を構える卸会社に就職した前田遼太郎くん(仮名・男性・26歳)は、昨年2月、入社1年足らずで会社を退職。押上にあった一人暮らしのアパートを引き上げて、埼玉県の実家でニート生活を始めた。  この1、2年は学生時代の仲間と連絡をとる機会はなかったという前田くん。先日、久々に会った学生時代の友人に自らのニート生活を驚かれたという。  なんと前田くん、会社を辞めてから現在までの約1年の間、ネットを含む、社会とのあらゆる関わりを完全に絶った暮らしをしてきたという。 「前の仕事を辞めた理由は上司ですね。朝6時から遅い時は20時まで、癇癪持ちの上司の下で怒鳴られながら働く毎日に嫌気が差し、辞表を出しました。それから実家に戻ってからの半年間はひたすら寝て、起きていてもほとんど布団の上。目を瞑りずっと考えごとをしていました」  食事は1日に一回。実家暮らしにもかかわらず、家族と会話もなかったという。  学生時代からタバコと自慰が大好きだった前田くんだが、現在は「いつの間にかタバコ吸うのを忘れて禁煙できていた」「夢精することがわかってから自慰だけは定期的にするようにした」「8か月前にコンビニで食パンを買ったのが最後の買い物」といった数々のニートならではのエピソードを披瀝してくれた。  いったい、ニートはその生活において何を考えて日々過ごしているのか。数多存在するニートの中の一事例として迫ってみよう。

“買い物がムダ”と悟った

実家の布団の上でこんな生活を過ごしていた

 スマホも比較的あっさりと断ち切った前田くんは、日々布団の上で何を考えていたのか。 「大学時代にコンビニの弁当をあんなに買っていたのはお金の無駄だったとか、わりと取りとめのないことを考えました。買い物がそもそもムダですね。サラリーマン時代のイヤなことを思い出し腹を立てては、人生がうまくいかない理由についても考えました」  そこで至った結論は、就職活動の時のモチベーションだという。 「なんとなく『内定が出ないとヤバい』と焦って世間体で流されて就活したのがいけなかった。それが一歩も家から出ない現在のニート生活につながっているのだと思います」  昨秋、いとこの結婚式があったそうだが、前田くんは家族の誰からも誘われることもなく、大人しく一人で留守番をしていたそうだ。
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61歳の母親がくれた5000円を握りしめて……
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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