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安田純平さんを独自ルートで「救出」しようとしたジャーナリスト・常岡浩介氏の告白

カショギ氏暗殺事件が影響した可能性も?

Japanese journalist detained in Iraq for suspected IS ties speaks at FCCJ

ジャーナリスト常岡浩介氏 写真/Rodrigo Reyes Marin/アフロ

――最終的にカタールが身代金3億円を支払ったことで解放に至ったという情報もある。 常岡:もともとカタールは親日的な国ですが、外務省に日本のオタク文化が大好きな外交官がいて、パリのジャパンエキスポからオタク文化のみを厳選したようなイベントも開催しており、声優でタレントの上坂すみれさんを招聘しているほどです。彼女のファンの外交官が企画しているのですが(笑)、こうしたソフトパワー外交的な下地もあり、カタールは日本を好意的に見てくれている。大げさではなく、今回の救出への強力に寄与したのは確かでしょうね。  加えて、近年、中東におけるカタールのプレゼンスが低下している点も背景にある。シリア内戦が勃発した当初、反アサドのカタールは大きな存在感を示していたが、突然、サウジがカタールを敵視し始め、2017年6月に断交に踏み切るとカタールは食料支援を求めるほどの窮状に陥ります。  そんななか、今秋になってサウジ人ジャーナリスト暗殺事件が起きた。カタールとしては、このタイミングで安田くんを救えば、「サウジはジャーナリストを虐殺する国だが、カタールはジャーナリストを助ける国」というイメージが広がり、これまでサウジに投じられていた資金を呼び込める、との政治的判断が働いたのかもしれない。 ――ネット上では、安田さんへのバッシングの嵐が吹き荒れている。 常岡:僕はジャーナリストが批判に晒されるのは当然だし、一般人はヘイト以外ならどんな無茶な批判を展開してもいいと思っています。「自己責任論」が広まったのは、ボランティア活動家の高遠菜穂子さんら3人が拘束された2004年のイラク日本人人質事件からですが、あのとき問題だったのは、自己責任論を唱えたのが国家の最高指導者である小泉純一郎首相だったということ。いわば、人質の自己責任を公的に認定したに等しく、公が煽れば民衆はそちらに流れる典型的なポピュリズムの手法と言っていい。  高遠さんも大変なバッシングに遭ったが、現在、イラクやヨルダンと日本を行き来する彼女の団体には莫大な支援金が集まり、イラク最大の支援グループに成長している。今や、世界中の人道支援団体が彼女を頼って活動しており、人道支援のハブのような存在になったのも、あのバッシングによって世界的に名を知られたからです。  「悪名は無名に勝る」ではないが、あれだけ誹謗中傷されれば、それに対して憤り、立ち上がる人たちは確実に存在する。彼女は期せずして、質のいい仲間を集めることに成功したんです。だから現在、絶賛バッシング中の安田くんも、これで将来は安泰!って、僕は思っています(笑)。彼、メンタルが異常に強いので屁とも思っていないんじゃないかな。  帰国後、会見は行わず、「可能な限りの説明をする責任があると思っています」とのメッセージだけ伝えた安田さん。一日も早く現場復帰してくれることを祈っている。<取材・文/日刊SPA!取材班>
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シリア拘束 安田純平の40か月

2015年6月に取材のためシリアに入国し、武装勢力に40か月間拘束され2018年10月に解放されたフリージャーナリスト・安田純平。帰国後の11月2日、日本記者クラブ2時間40分にわたる会見を行い、拘束から解放までの体験を事細かに語った。その会見と質疑応答を全文収録。また、本人によるキーワード解説を加え、年表や地図、写真なども加え、さらにわかりやすく説明。巻末の独占インタビューでは、会見後に沸き起こった疑問点にも答える

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