さらば“懐かしき”あらかわ遊園! リニューアル前最後の営業日に涙
そして次回リニューアル時には確実になくなってそうなモノを撮影してきた。
まずはこの庶民的な食堂。今どきのアミューズメント・フードコートには、まずない【おでん 420円】。リニューアルしてスタバとか入ってたら、もうそんなのあらかわ遊園じゃない。
そして食道わきにあった、100円セルフ式のわたあめ機。自分でわたあめを作るなんて、子どもにとってそれ自体が大きな遊び。今まで何万人の子どもを喜ばせたこれも、2021年にはたぶん、もうない。
また、あらかわ遊園のすぐれている点は、乗り物など各種アトラクションの他に、こういったどうぶつ広場が併設されているところ。モルモットやひつじ、やぎは放牧されており、ふれあえることができる。またサルやシカもおり、えさやりも。彼らのなかの何匹が、2021年に戻ってこれるのか。
名残り惜しいなか園内を散策していると、時間はすでに夕刻。あと30分、18時をもって閉園になってしまう。賑やかだった園内も段々と人影が少なくなり、灯ったライトが切なさを増していった。
ふと行きがけに寄った店のことを思い出す。園の外には、【だがし】【おもちゃ】【もんじゃ焼き】と書かれた商店が立ち並んでいる。もちろん、あらかわ遊園に来た親子を当てにしたお店だ。連れていった息子が「おやつがたべたい」と言うので、そのなかの1軒に寄った。お年をめした主人に「今日で終わっちゃうね。淋しいね」と言うと、「2年半でしょ? 2年半は長いよ。だからウチは今日で閉めるんだ」そう言って、主人は笑った。たかがリニューアル工事だが、いくつもの人生が急カーブを強いられ、その幕を閉じる者もいる。
時刻は18時。ついに閉園の時間だ。古びたアナウンスの「リニューアル後のまたのご来場をおまちしております」という声が、園内に響く。
出口に向かうなか、後ろを振り返る。観覧車が幻想的な光を帯びていた。
もうこの観覧車を見ることはない。こうやって、今まで当たり前にあったものがどんどんとなくなっていく。思い出を奪われるようで悔しいが、仕方のないことだ。
「ねえ、ぱぱぁ、たのしかったねぇ。あしたもまたこようねぇ」
よほど楽しかったのだろう。息子の無邪気なこの言葉に誘われ、我慢していた涙がこぼれた。
<取材・文・撮影/村橋ゴロー>





1
2
【関連キーワードから記事を探す】
清野とおる×パリッコが語る、飲み歩いて気づいたこと「どこの街にも、キーマンはいる」
漫画家・清野とおる × 酒場ライター・パリッコ 書籍『赤羽以外の「色んな街」を歩いてみた』発売!
メダカすくいに救われた「水道橋」の夜/清野とおる×パリッコ
不動産屋はウソをつく。損しないために知っておきたい3つの“単語”
茨城県が魅力度ランキング最下位脱出!県民に直撃レポートしてみた
絶滅危機…国内わずか6ヶ所「デパートの屋上遊園地」が“名古屋で復活”のワケ。レトロ遊具も再登場
“銀歯”も買い取るブックオフに聞いた「意外な買い取り商品」5選
CDではなく“カセットテープ”でデビュー。女子大生シンガーの昭和愛
「日ペンの美子ちゃん」に大先輩がいた!? その名は「養命酒のメイ子ちゃん」!
「女子高生の頃から使い続けて35年」テレクラ主婦の“テレクラ愛”を聞いた
この記者は、他にもこんな記事を書いています