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Uターン転職で年収800万円が100万円に…50代の現実から考える「キャリア」とは?

キャリア

「キャリア」とは「自分に合った継続できる働き方」

 そもそも「キャリアとは何か?」を正確に把握している人は少ないだろう。「なんとなく出世だったり、スキルアップだったり」とぼんやりと捉えているのではないだろうか? 溝上氏は言う。 「キャリアとは、決して出世や年収、スキルのアップを指すのではなく、『自分に見合った、人生をまっとうできる働き方』のことを指すのです。田山さんが認知症の母親を見捨てて東京で働き続けることがキャリアアップなのか?Uターン就職先でストレスを抱えながらも会社にしがみつくことがそうなのか?  私は決してそうは思いません。愛する母親の世話をしながら、それでも人生を味わいながら働き続けられる道を探していくこと。つまり、田山さんのキャリアはこれから模索していくべき段階にあると考えます」  人材育成コンサルティング企業を営む前川孝雄氏もこう続ける。 「キャリアの語源は、ラテン語で車輪が通った道に刻まれる『轍(わだち)』のことです。ですから、キャリアは未来に向かって積み重ねられるものではなく、生きてきた道のりとして人生に刻まれるもの。田山さんがもがき苦しんできた過程が、彼自身のキャリアとなるのです。  今は苦しい時期かもしれませんが、これまでのキャリアからきっと何か現状を打開できる可能性が見つかるはず。決して諦めてはいけません」  人生100年と言われる時代。これまで生きてきた道のりを振り返り、「自分に合った無理のない働き方とは何か?」について、40代、50代の思秋期に立ち止まって考えてみたい。〈取材・文/日刊SPA!取材班〉 【人事ジャーナリスト・溝上憲文氏】 多数メディアで、経営・賃金、人事・雇用などを中心テーマに執筆。著書に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社)など 【FeelWorks代表取締役・前川孝雄氏】 350社以上で「人が育つ現場」創りを支援。「上司力」を提唱。著書に『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベスト新書)など ― [負け組50代]の衝撃 ―
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