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「誰より早く出社し掃除する」生き残りに必死な50代ヒラ社員

社内サバイバルが激化するなか、大多数のサラリーマンは“出世”という一つの目標を諦めなければならない。リストラされずに、ヒラ社員として社内で居場所を確保している人たちはどのような生存戦略をとっているのか。具体的な事例をみていきたい。

「誰より早く出社」「始業時間直前までタイムカードを押さない」…生き残りに必死なヒラ社員の日常

ヒラ社員

イラスト/ドテ山ススム

 広告関係の会社に勤務する高橋春樹さん(仮名・51歳)は「誰より早く出社する」ことで、新入社員ばりのやる気をアピールし続けている。 「若い頃は、寝坊して遅刻なんてこともありましたが、今は年をとったせいか、朝早く目が覚めるようになりました。なので、毎日午前6時に出社しています」  高橋さんは「自分が勝手に出社してるだけだから」と、始業時間直前までタイムカードを押さない。 「センスも才能もないと箸にも棒にもかからない業界で、今も雇ってもらえているのは本当にありがたい」として、出社後は自分なりの方法で職場の環境を改善しているという。 「共用スペースのテーブルや給湯室を掃除しています。若手のみんなはすごく忙しいし、出社時間もフレックス制でまちまち。彼らの負担にならないよう、手が空いている私が掃除しています」  経営陣が、高橋さんの清掃活動に気づいているかどうかは定かではないが、若手社員からの評価は高い。

職場で無言を貫く

 自動車関連の会社に勤務する坂井誠さん(仮名・48歳)は、職場で無言を貫くことで、座敷童のように会社に残り続けている。 「みんなクルマの話で盛り上がっているけど、僕はあまりクルマに興味がない。誰とも会話せずに一日が終わる日もあります」  新人教育を任されたこともあったが、他人に教える才能なしと烙印を押されたという坂井さん。だが、「僕は誰よりも早く正確に業務を遂行することができる。上の人間も重宝がっていると思いますよ」と、自信をのぞかせる。
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早起きをしてスイーツの列に並ぶ“差し入れ作戦”
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