元選挙スタッフが語る米大統領選の問題点とは?
3月にロシア、4月と5月はフランス、10月は中国、11月はアメリカ――。
2012年は主要な大国で首脳の選挙が行われる年だ(中国は少し性質が違うが)。
その中でも、やはり注目されるのは米大統領選。しかも、3月6日の火曜日に最大の山場が訪れる。8月の共和党全国大会に向けて全米50州で繰り広げられる予備選のうち、11州の予備選がこの「スーパー・チューズデー」に行われるのだ。果たして、現職オバマ大統領に対抗する共和党候補は誰になるのか?
そんな「スーパー・チューズデー」に向けた各候補の熾烈な選挙戦を裏側まで描いた映画『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』(監督・脚本・出演・製作/ジョージ・クルーニー)が3月31日に封切られる。この映画の原作者は劇作家のボー・ウィリモン氏。大統領予備選を含む4つの選挙戦に選挙公報担当などのスタッフとして加わった経験を持つ人物だ。
「共和党の大統領候補はロムニーかギングリッジで決まりでしょう」と共和党候補に関しては下馬評通りの予想をするボー氏だが、次のような米大統領選の問題点を指摘してくれた。
「確かに長期に及ぶ大統領選では、候補者同士が議論を長く続けられるし、国民は時間をかけて支持する候補を決められます。ただ同時に、長い選挙は莫大な資金を要するから、候補者は資金を寄付してくれる団体や特定の人物の意向に縛られることになってしまう。アメリカ国民が大統領を選ぶ……というのも少し違います。00年の大統領選では、ゴアの得票数はブッシュより多かったが、獲得した選挙人の数では逆にブッシュが上回ったため、ゴアは僅差で負けた。国民の投票が必ずしも大統領選の勝者を決めるわけではない……『選挙人』制度の弊害ですね」
日本でも、ちょうど「大阪維新の会」の政権公約「船中八策」の骨格に「首相公選制の導入」が謳われたばかり。今後、改めて首相公選制について国民的議論が湧きあがる可能性もある。確かに、「選挙人」という特異な制度のことは日本ではあまり考える必要がないだろうが、果たしてベストな選挙制度とは何か、そしてベストな選挙制度などありえるのか、といったことを考えるあたって参考になる話だ。 <文/SPA!編集部>
※2/21発売の週刊SPA!「エッジな人々」ではボー氏が元ジャーナリストの上杉隆氏と米大統領選について対談している。要チェックだ!
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