築地跡地にMICEを整備するという新プランは、降って湧いたような話にも聞こえる。だが、この突然の再整備計画は、政治家・小池百合子の政治的思惑が強く働いた結果と見るべきだろう。なぜなら、都議会が小池知事の「前言撤回」で大揉めに揉めた直後の3月4日、小池知事は自民党の二階俊博幹事長と会談。二階氏がその後の会見で「都知事選に小池知事が出馬するなら全面的に協力するのは当たり前。実績を見てもわかるじゃないか」と小池再選に協力を惜しまないと宣言したからだ。 　これを受け、小池知事も「非常に力強く『支えていくよ』という言葉をいただき、ありがたく思っている」と笑顔で応えたが、二階氏といえば、旧民主党出身の細野豪志元環境相を自身の会派に呼び入れ、将来的な自民党入りを目指すなど独断専行なやり方に党内からも批判の声が上がっている人物だ。果たして、小池知事との間でどのようなやり取りがあったのか？　ジャーナリストの藤本順一氏が話す。 「『小池劇場』の終焉で、往時の勢いを失った小池知事はこの2年間、苦しい都政運営を迫られ、徐々に自公寄りにシフトしていました。そんななか、今回、小池知事が訴えていた食のテーマパーク構想を捨ててまで方針転換を図ったのは、これまで国政レベルでインバウンド政策を推進してきた二階幹事長から直接、築地跡地のMICE構想を打診されたからです。 　もちろん、自民党東京都連は小池知事とは敵対関係にあるので、今回猛反発したように次期都知事選で小池知事を推すことはない。言うなれば、1991年に、自民党時代の小沢一郎幹事長が元NHKの磯村尚徳氏を擁立し、都連が現職の鈴木俊一氏を立てて分裂選挙となった都知事選と同じ構図です。現職が強いとされる知事選ですから小池氏が再選を狙うのは間違いなく、五輪を大過なく開催に漕ぎつければ、都議会の多数派を牽制しつつ再選の足場を築いていける。 　だからこそ、悪化した自民党との関係修復を図っており、現在はそのルートが二階幹事長になっている。今後は自民党内の勢力関係や、今夏の参院選の結果が都知事選にも影響を及ぼすでしょうね」 　6日、二階幹事長は事態収拾を図るために、都知事選に関しては「もう発言しない」と弁明。翌日には、都知事選で敵対した「都議会のドン」こと、内田茂・元都連幹事長らと手打ちの会談も開いた。次期都知事選まで1年半、小池知事は統一地方選と参院選の行方を見極めながら、次なる一手を考えているのかもしれない。 取材・文／週刊SPA！編集部　 ※3/12発売の週刊SPA！今週の顔より