LOVE IS BLIND(=愛は盲目)という言葉があるとおり、愛は行きすぎるところがある。それは男女の愛だけでなく、親から子への愛もまた然りだ。行き過ぎてしまった子供への愛が、他者や社会への過剰で横暴な要求として噴出してしまった存在がモンスターペアレンツと呼ばれる。

写真はイメージです(以下同じ)
春に環境が変わり気を張っていても、慣れによって剥がれ落ちた仮面の下から、モンスターペアレンツとしての素顔が見えてくるのがこの季節でもある。今回は、みなさん自身がモンスターペアレンツにならないように、そしてそうした人が現れても落ち着いていられるように、様々な方が体験した、モンスターペアレンツ遭遇譚をご紹介する。
ママ友が実はモンスターだった
これは、4歳の男の子を持つママ、Kさんの体験談。

「私が、息子とよく行っていた公園があるんですが、そこに同い年の子を持つお母さんがよくきていて、顔を合わせるうちにママ友のような存在になりかけていたんです。その日も、私たち親子が公園で遊んでいると、その親子がやってきました。子供たちが2人で遊んでいる様子を、私とそのお母さんで少し離れたベンチから見ていたんです。
しばらくすると、うちの子が家から持ってきたお菓子をポケットから出して食べようとしましたが、相手の子に『僕にもちょうだい』と言われ『1個しかないからあげない』というやりとりからケンカになってしまいました。すると、私の隣に座っていたお母さんがベンチから立ち上がり、2人に駆け寄っていったんです。
『仲裁してくれるんだ』と思って見ていると、そのお母さんは、うちの子が握っているお菓子を取り上げて自分の子に渡したんです。私は驚きのあまり呆然とその様子を見ていました。しかし、機嫌を損ねていた相手の子は、うちの子から奪い取って渡されたお菓子を、そのまま捨ててしまったんです。
そしたらそのお母さん『あなたが、すぐあげないからでしょ!』と、なぜかうちの子に怒りはじめました。私は慌てて我が子を連れて、家に帰りました。もう2度とあの公園には行きたくないですね」
かつて保育園に勤務していたSさんが、実際にあったモンスター親の体験談を語ってくれた。
「私が働いていた保育園は、都内にあるのに園庭に緑が豊かに茂るのが特徴でした。そのため、都会にいながら自然に触れ合えるということで、入園を希望される方が多かったんですね。園の方でも、そうした特徴を生かすために、子供たちをよく園庭で遊ばせたり、外でのお絵かきをさせたりしていました。
そんなある日、私と園長が仕事を終えて帰ろうとしていると、電話が鳴ったんです。もう遅い時間だったので、なにか緊急の連絡だと思い電話に出ました。すると音声が割れるような怒号で『うちの子が蚊に刺されて帰って来た!どう責任をとってくれるんだ!』というのです。
うちの園に通っている子の親御さんでした。私も謝りつつ、虫除けも十分にしているが蚊に刺されることはあると丁寧に説明し、ご理解いただこうとしました。それでも『責任をとれ』だとか『園児を外で遊ばせるなんて、危機管理がなっていない』などど叫ばれるので、私では抱えきれず、電話を園長にかわってもらいました。親御さんに転園をすすめる園長を初めて見ましたね」