正月から働く武蔵高・一橋大卒のエリート塾講師「就活に失敗したらただの駒」
正月休み。旅行や自宅で家族とゆっくりするなど、過ごし方は様々。中には、正月から栄養ドリンクを飲んで頑張る仕事マンもいる。38歳の塾講師・宮部優さん(仮名)だ。正月特訓から始まる年明けのスタートは、実に涙ぐましい。
「合格ハチマキを締めて、難関中学受験塾の正月特訓で、日に8時間は教鞭を執ります」
昼休みにも生徒からの質問攻め。ご飯もおにぎり1個の時もあるそうで、カップラーメンをすする日には「今日はラーメンだ」と少しくつろいだ気分になるというからすさまじい。
「でも授業が延長するとおにぎりも間に合わなくて、カロリーメイトなど1分以内で終了する昼食です」
一昔前の塾や予備校の講師にはそれなりの豪華な弁当が出たそうだが、今や全くないとか。
「塾業界が広告費を増やしたため、人件費を削減。そのため弁当配布など夢のまた夢です」
宮部さんは都内の難関校御三家の一つである武蔵中学、武蔵高校から、一橋大学の法学部に入学。だが時は就職氷河期。卒業後は法科大学院へ通う。
「司法試験の勉強をしながら、塾講師のアルバイトをしていたら、いつのまにか専任講師になってしまいました。司法試験? 受かっていたら、今ごろ弁護士事務所で正月ぐらいは休んでいたでしょうね」
一流高校、一流大学を出ても就職に失敗したら塾業界のブラック企業の駒にしかならないことを教えることが真の教育だ、と少し自嘲気味の宮部さん。
「一番辛いのは、モンスターペアレントから日夜過剰な個別リクエストを受けることです。無料のボランティア補習講座を強いられたりして、アタマがパンクしそうです」
正月特訓の授業をこなすだけでも大変なのに、親子で質問にくるケースが増えたとか。おまけに、職員全員が集合した年末のミーティングで、社長が次のような発言をしたという。
「社長が『生徒をライバルの個別指導塾に取られないように、個別補習をしっかりとしない場合は、減給対象になります』と訓示したため、さらに仕事が増大してしまったんですよ。しかも個別補習は無料。ブラック企業と心の中で罵りながら、個別補習が続くと感覚が鈍ってしまって、もはやノルマの一つになってしまいました」
正月から1日8時間の授業をするエリート講師
正月から騒がしいモンペ
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