「ちょっと不幸なM気質」――サウナにハマる人の意外な共通点
――大町さんの漫画は「実体験がベースのフィクション」ですが、まんきつさんの『湯遊ワンダーランド』はエッセイ漫画で全編実話ですよね?
まん:はい。ネタ探しに、毎日のようにサウナに行ったりハシゴしたりもするんですけど、漫画にして面白いような出来事ってほとんど起こらなくて。銭湯は本当に平和な場所。だいたい「あー気持ちよかった」しか残らないので、『SPA!』での週刊連載は常にネタ切れ状態で苦労しました。
大町:銭湯でヌシ(常連客)に「ぶっ殺すよ」って言われたのも本当なんですか?
まん:本当です。しかも笑いながら言われました。東上野にある銭湯なんですけど、ハードモードな銭湯としても有名で。そこのヌシには気をつけたほうがいいです。キツいこと言われて泣かされたって話もたまに聞きますから。時間帯にもよりますが、口開け(開店)直後は避けたほうがいいかもしれない。“具”がちょっとでも見えてると「はしたない! 隠せ!」って詰め寄られます。他の若い女性客にも同じように怒っていたので、“具”を見たくないんでしょうね。
大町:明日は我が身! 気をつけます。よく行く近所の銭湯にも口うるさい常連さんはいますけど、それぞれの“正義”があるみたいですね。まんきつさんの漫画にもありましたけど、明らかなマナー違反の人に対して注意してくれる“必要悪”としてヌシがありがたいときもある。私、マナーが悪い人を見かけてもこわくて何も言えないから……。
まん:確かに。私も言えないなあ。言うと自分がヌシみたいになっちゃう気がして、それもイヤで。
大町:ヌシにより規律が守られている銭湯もあるでしょうけど、なりたくはないですね。
まん:東上野の銭湯のヌシは「口が悪い」からよくないのかも。注意するにしても、やっぱり言い方なのかもなあ。
――ところで、大町さんの漫画では、女性は女風呂で体を隠すことなく裸で、まんきつさんの漫画では、多くが体をタオルで隠しています。実際はどちらなんですか?
まん:私は漫画であまり裸を描きたくないというか抵抗感があって。だからタオルで隠したりしましたけど、実際はみんなすっぽんぽんですよ。
大町:まんきつさんも隠さない?
まん:私は胸の大きさが左右違うのがコンプレックスで、だからそこは隠します。でも下は特に隠しません。
大町:連載ではボツになってしまったんですが、「(主人公が)他人のアンダーヘアを見て研究する回」を描きたかった。実際、見ちゃうから。
まん:えー。私は見ないなー。
大町:女同士で裸を見せ合うことなんて普段ないから、どうしても気になってしまいます。おっぱい大きいなあとか、おばあさんの乳首ピンクだなあとか。
まん:ババアの乳首ってだいたいピンクですよね。
大町:色素が抜けちゃうみたいですね。まんきつさんはなんで人の体を見ないんですか?
まん:うーん、なんでだろう。人にあまり興味がないのかも。でもパイパンは気になる。池袋の「レスタ」とか麻布の「アダム&イヴ」なんかはおまんちょパイパンにしてる人多かったですよ。
大町:え、おまんちょ?
まん:あ、熊谷ではそう言うんです。
大町:初めて聞きました。ちょっとかわいいかも。確かに若くてオシャレな人が多いエリアの銭湯にはマン毛処理女が多い印象です。
まん:マン毛処理女って呼び方あるんですか?
大町:わからない。私はそう呼んでいます。
『お熱いのがお好き?』 “私”をととのえる サウナ×水風呂! |
『湯遊ワンダーランド』 サウナ・水風呂・外気浴――それらをひたすら繰り返すだけ。 すると退屈で灰色だった毎日は、少しずつ熱を帯び色づきはじめた。 人気漫画家まんしゅうきつこ、お酒の次はサウナにハマる!? |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ