更新日:2023年04月18日 10:50
お金

ライザップの急落は予測できた。CMとは違い財務はメタボ気味

「あの企業の意外なミライ」を株価と業績から読み解く。滋賀県出身、上京2年目、犬より猫派、好きな言葉は「論より証拠」のフィスコ企業リサーチレポーター・馬渕磨理子です。私はこれまで、上場銘柄のアナリストとしてさまざまな企業の業績予測、市況予測を行ってきました。また、自身で株式投資を5年以上に渡って行い、市場に向き合ってきました。本企画では、そんな私、馬渕の視点からみなさまに「あの企業の意外な情報」をお届けます。

公式ホームページより

売上2倍でも利益は赤字、株価も大暴落

 今回取り上げるのは、ライザップグループ<2928>の財務分析です。ライザップグループといえば、M&Aにより急拡大したあと、相次いで買収した企業の再建に手間取り、大幅な赤字となった“急拡大と破綻”のイメージが強い企業ではないでしょうか。  事実、2019年3月期第四半期に赤字に転落し、通期で193億円と大幅な赤字となり、一時、1500円以上あった株価が、200円台まで(7分の1以下)に下落しています。そんなライザップですが、直近決算2019年3月期第1四半期では営業利益が黒字転換しています。  8月9日に開いた決算説明会で瀬戸健社長は「赤字の中でも赤字幅が大きく縮小したり、黒字の会社の黒字が大きく伸びたり、ひとつひとつ進めている。今期はしっかり足元を整えて、来期は大きなV字回復に向けて進みたい」と述べています。  そもそも、ライザップが大幅赤字になる前に、財務上の兆候はなかったのでしょうか? 分析すると、その答えは、しっかり潜んでいたのです。その答えを、ライザップの財務諸表に注目して3分ほどで説明していきます。  キーワードは、「メルカリ転売で稼ぐ副業サラリーマン」です。

ジェットコースターのような営業利益

 ライザップの損益計算書(略して“PL”=profit and loss statement)を見てみましょう。PLとは、簡単に言えば企業に「出てくるお金」と「入ってくるお金」を示したグラフのこと。ライザップのPLを見てみると、売上高は… 2016年…約554億円 ↓ 2017年…約952億円(+398億円) ↓ 2018年…約1220億円(+268億円) ↓ 2019年…約2225億円(+1005億円) 営業利益は… 2016年…約31億円 ↓ 2017年…約102億円(+71億円) ↓ 2018年…約135億円(+33億円) ↓ 2019年…約-93億円(-228億円)  となっており、〈売上高はわずか3年で4倍。営業利益は2年で4倍〉になっています。が、その翌年には、大赤字に転落しています。  なぜここまで急転落したのでしょうか?
次のページ right-delta
サラリーマンのメルカリ副業と同じ?
1
2
3
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ