<純烈物語>前川清が、復讐の鬼と化した巨大パンダから純烈を救う<第9回>
「白と黒とハッピー~純烈物語」第9回
純烈のウィキペディアには林田達也、友井雄亮とともに元メンバーとして「アンドレザ・ジャイアントパンダ」の名前がしっかりと記されている。’19年2月16日「マッスル」両国国技館公演にておこなわれた新メンバーオーディション時間差バトルロイヤルで野性味あふれる強さを誇り、最後にリーダーの酒井一圭を500kgの肉体で圧殺し、晴れて加入した。
もともと酒井は新メンバーの加入を望んでいなかった。友井の脱退を受け、世間に対し「4人で頑張っていきます」と宣言した手前、5人……いや、4人と1匹となるのは気まずいと思ったからだ。
だが、この時も鶴見亜門が「4人だとセンターがいなくて収まりが悪いから」などというとってつけた理由で、新メンバーを決めるバトルロイヤルを強行。リーダーが勝てば主張通り現行のまま純烈を続けられる条件だったが、さすがに人間が熊猫山脈へ勝つのは無理があった。
とはいえ、純烈のメンバーになれるようダンスやムード歌謡のトレーニングを積んできたとあり、さっそくアンドレザも入って『プロポーズ』を披露すると、1体だけ飛び抜けた巨体を誇っていることを除けばまったく違和感がない。意外なまでにファンにも受け入れられ、さっそく途中休憩中のバックステージではパンダもマスコミに囲まれ、スターだけが味わえる特権意識に酔いしれた。
ところがマッスルのフィナーレにきて、パンダの不倫疑惑が発覚。アンドレザは年頭のプロレス大賞受賞式に出席したさい、女子プロ団体・アイスリボンのエースであり美女レスラーとしての誉れも高い藤本つかさに、新年の挨拶代わりにチューをしてもらった。
そのシーンがプロレス大賞を制定する天下の東京スポーツ紙がすっぱ抜き「女子プロレスラーとパンダが不倫」と何もそこまでというほどにデカデカと報じたため、またたく間に醜聞として広まった。藤本嬢は独身だが、問題はアンドレザのほう。
‘16年元日生まれのアンドレザは、翌春に故郷である四川省の山奥で知り合ったメスパンダのティンティンと結婚。’18年3月には一粒種のラジャ・パンダを授かっている。
【詳細はアンドレザ・ジャイアントパンダ単独インタビュー参照】⇒KEN筆.txt
順調に家庭を築くものと思われた矢先ゆえ、不倫問題はうかつだった。
藤本としては報道陣のリクエストに応じ絵作りのつもりだったと思われるが、相手がパンダとなると必要以上に心を許してしまうのも致し方あるまい。現在は誤解も解けて家族円満に暮らしているが、マッスル開催の時期はティンティンも旦那に対し疑心暗鬼となっており、純烈の現状と相まってスキャンダルには神経過敏にならざるを得ない状況だった。
加入初日にクビを宣告するあたり、芸能界の厳しさを見た思いがした。純烈と直接関係のない色事に巻き込まれてしまうのは、再スタート直後というタイミングを思えば避ける必要がある。
とはいえ、たった一日でお払い箱となったアンドレザ本人……いや、本パンダに言わせれば「事実関係をしっかりと確認することなく、トカゲの尻尾切りならぬパンダの尻尾切りは不当解雇でしかない」となって当然。そして亜門のような男なら、そこにつけ込むぐらいのことはする。
クビになった元メンバーの復讐と前川清の粋なサプライズ登場
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxt、facebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売
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