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日本で初めて三連単が始まったとき。人生二度目のビギナーズラックと違和感<江戸川乞食のヤラれ日記S>

平和島の水面

記念の準優や優勝戦を見ているような空気感

 初めての三連単発売ということで、1R目から大混雑、幸い……なのかはわからないが、有人窓口がまだ多かった時代でもあり、マークカードの塗り間違いをその場で売り場のおばさんたちに修正してもらいながら買っている客の姿がちらほら……。  発売締切から出走、特観席の空気が緊張する、最初の三連単舟券を当てたい、という空気がなんとなく記念の準優や優勝戦を見ているような空気を作り出していた。  レース結果は井上弘が逃げ、酒井が差し追走。若手らしく握って回った大外中野が3着追走の1-2-6で二連単860円、平和島初の三連単は1850円……。  発表された配当金を耳にした客のなんとも言えない空気、もえ、三連単なのにそれだけ? そんな気配であった。  実際、客が大きくざわついたのは、2Rで8530円。10Rで39800円の配当がでたときくらいだった気がする。

違和感はあったけど、比較するものがない三連単

 この日、人生初の三連単の結果は12打数6安打、回収率182%とそれなりの浮きで終了。  人生二度目のビギナーズラックは確かにあったのかもしれない……のだが、浮いておいて贅沢な話なのだけど、この時の自分は前日のはしゃぎっぷりが嘘のようになんとも言えない違和感に包まれていた。  目の前を走る6艇の中から上位に入る舟を予想して当てる。  但し、三連勝式は2着までではなく上位3着までを予想するという変更にすぎない。  そう口で言うには簡単なのだが、ただそれだけでなにかいままで自分が培ってきた展開予想や舟券予想のセオリーが崩れていくような感じもしていた。  京急平和島駅のホームで電車を待ちながら、なんとなく捨てずに持って帰ってきた全レースの外れ舟券を改めて取り出すと、その厚さは5ミリを余裕で超えていた。  二連単でこれだけ外れ舟券の山を積み上げていたら、その日はいくら負けてきたのか想像ができない、あとは目の前を通過する快特にダイブするしかないだろうってくらい負けが込んだ厚さである。
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三連単初体験をしたおっちゃんたちの会話は
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シナリオライター、演出家。親子二代のボートレース江戸川好きが高じて、一時期ボートレース関係のライターなどもしていた。現在絶賛開店休業中のボートレースサイトの扱いを思案中

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