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日本で初めて三連単が始まったとき。人生二度目のビギナーズラックと違和感<江戸川乞食のヤラれ日記S>

三連単初体験をしたおっちゃんたちの会話は?

「競艇と……いや平和島と三連単って相性悪いんじゃねぇか? いつもの伯仲番組を組んでおいて三連単で3ケタ配当がでるんだからなぁ」 「それは今日みてぇな日に、朝から来る客がクロいせいもあるだろうけどけどよ、確かに思ったより二連単と配当に差がつかなかったよな、万舟も一本しかでなかったし」 「そういや平和島って、3着がよく紛れるよな、二連単なら3着の舟は考えないでいいけど、これからは3着に入る舟のことまで考えねぇとまずいってことか?」 「二連単なら4点くれぇまでに絞れるけど、さすがに3着まで考えたら三連単ではイヤでも買い目が増えそうで大きく張れねぇよなぁ、それでも配当でかけりゃいいけど、終わってみれば3ケタ配当ってんじゃまるっきしお話になんねぇ」 「でもその今日でた万舟はそこそこでけぇし、二連単でなかなかでにくい中穴クラスの配当もあるから、そのへんは狙いやすいってのはあるかもしれんな」 「とはいえな。この先、下手したら昔しくじった全レース進入固定競走みたいな枠なりレースがメインになっていくんだろ? そしたら今日の1Rと6Rみてぇな展開ばっかりになるのか……なんかイヤだな」 「どうせ進入固定でやるなら、居直って昔みたいに総ガマシのブイ付きでやってほしいぜ」  そんな感じで電車を待っているおっちゃんたちの会話を耳にして、なんとなく抱いていた違和感の正体が掴めた気がした。  買える目30通りから120通りと4倍に増えたが、二連単と三連単との配当の差がそれほど大きくなかったという印象が自分だけではなかったということ、そして、自分を含めて大多数の客が買い目4倍なら二連単と三連単の配当の差が4倍以上になるだろうという謎のオケラ理論が頭を支配しているに違いないこと。  そういうこともあって、当初に三連単へ抱いていたイメージとは少し……かなり……微妙だけど確実に乖離していたという点。  そして、大多数の客が三連単に慣れた現在ではあたりまえの行動に近いものあるが、当てても外してもレースが進むごとに無意識のうちに買う点数を増やしていったこと。  たぶんこれが自分なりの違和感の正体。いままで二連単を買うスタンスとはまるで違う形で三連勝式の舟券を買っていた、買うのを強いられていたという結論に達した。  この日から関東でも三連勝式の発売が始まって、そして自分が初めて三連単を買ってから今年で19年。そしてその期間で確実に競艇、ボートレースの賭式もほぼ完全に三連勝式にシフトしている。  さらに、当時のおっちゃんたちの予想通り、現在では枠なりが主流のレース構成になり、いつの間にか客の方もそれを納得済みで予想を立て、その結果、確かに内側から順に人気になるオッズの偏りに関しては納得できるようにはなっていたが、本当にそれが良いことなのか悪いことなのか、今も答えが出せていない。 第45回日刊スポーツ旗争奪レース 初日成績 1R 1-2-6 1850円(進入固定競走) 2R 5-1-2 8530円 3R 4-3-1 970円 4R 3-1-5 950円 5R 5-2-6 2390円 6R 4-2-5 1610円(進入固定競走) 7R 3-4-5 1880円 8R 3-5-2 4220円 9R 6-1-5 7440円 10R 6-3-4 39800円 11R 4-2-3 2290円 12R 4-1-2 1600円  なお、この開催の優勝戦は、初日のモーターの吹けの悪さだけを見てたらまず買えない花田和明が道中モーター立て直したのか優出6枠に残り、優勝戦では4コースを強奪してきっちりまくり差しを決めて優勝。  2着にはこれまた初日だけを見てたらまず買えない鈴木茂正、3着に初日10Rでこの日の三連単最高配当を叩き出した立役者である松元保徳が残り、三連単配当15660円の万舟決着で平和島三連勝式導入の初開催は無事終了した。 ※平成22(’10)年度以前の話題につき当時の名称にて表記しております ※本文中敬称略
シナリオライター、演出家。親子二代のボートレース江戸川好きが高じて、一時期ボートレース関係のライターなどもしていた。現在絶賛開店休業中のボートレースサイトの扱いを思案中
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