更新日:2019年09月16日 16:05
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韓国の次の標的は日本。地球上で日本は生き残れるのか/倉山満

半島と香港は、「日本が地球上で生き残れるか」という一つの問題なのである

文在寅大統領

日本からの独立記念日である8月15日、韓国・天安で演説する文在寅大統領。韓国から呼びかけられる“対話”、動き続ける周辺諸国、我々が今すべきは何か 写真/時事通信社

 飛耳長目(ひじちょうもく)。  吉田松陰先生の座右の銘だった。言うまでもなく、松陰先生は松下村塾で幕末維新の指導者となる若者を教育した。その時に「どうしたら日本が生き残れるか、自分が将軍になったつもりで日本のことを考えろ!」と教えていた。他の誰の責任にもしない、自分が日本を背負うつもりで勉強しろと教えていたのだ。  そして自ら範を示し、国際情勢に関する情報を集めまわった。耳を飛ばすように情報を集め、目を長くして分析評価する。  現代日本が生き残るためにこそ、必要な教えであろう。  さて、我が国の周辺が緊迫している。韓国は日米から離反し、中露朝の陣営の国であると露骨に示しはじめた。一方、香港では反体制派のデモが半年も続いている。  朝鮮半島問題について語る論者は腐るほどいるし、香港問題を解説してくれる論者も後を絶たない。では、この二つの場所で起こっている二つの事件が、独立した別個の問題ではなく、一つの問題だと教えてくれる識者は何人いるだろうか。半島と香港は、「日本が地球上で生き残れるか」という一つの問題なのである。  現在の国際社会で、覇権国家(チャンピオン)はアメリカである。アメリカの覇権に中国が取って代わろうとしている。かつての挑戦者であったロシアは、中国の陰に隠れて、虎視眈々と失地回復を狙っている。三大国が東アジアで睨み合っているのだ。

北朝鮮はもはや韓国を乗っ取った

 ここに北朝鮮が、自己主張をしている。朝鮮半島は悲劇の土地で、常に大国に翻弄されてきた。ところが70年間に渡り北朝鮮の地で圧制を強いている金一族だけは違う。米中露の三大国の間を巧みに泳ぎ切り、自らの主体性を示して生き残ろうとしている。その為なら、人民の100万人を殺してでも核武装をするのが北朝鮮だ。  北朝鮮は、12万人とも言われるスパイを送り込み、韓国を乗っ取った。韓国の文在寅大統領の行動を見よ。その愚かな行動の数々も、北朝鮮が送り込んだスパイだと仮定して考えれば、説明がつくことばかりではないか。  19世紀以来、東アジアは海洋国家と大陸国家のせめぎあいで動いてきた。大英帝国vs.ロシア帝国、アメリカ合衆国vs.ソ連、そして今はアメリカvs.中国。  現在の形勢はどうか。海洋勢力と大陸勢力がぶつかる主戦場だった朝鮮半島では、韓国の陥落で大陸勢力が優勢だ。しかし、香港に火が点いて、中国も大わらわだ。  世界の政治家は、地球儀を将棋盤か碁盤のように見立て、勢力争いをしている。米中ともにお互いの勢力圏に攻撃を加えて、ポイントを挙げあっているように見える。だが、苦しいのはアメリカの方だ。  この原稿を書いている最中にも、韓国で法務大臣予定者のスキャンダルが噴出し、香港では行政長官がデモ隊をなだめる声明を出している。これらに関しては、大陸勢力の方が対応に追われる。では、海洋勢力はこれ以上に攻め込めるのだろうか。このまま香港や韓国で騒ぎが広がったとして、中国から香港を取り返すことはできない。一方で、韓国は今のスキャンダルが広がったとして、反中反北の大統領が誕生する見込みはない。  劣勢なのは、海洋勢力なのだ。なぜなら、アメリカは中露北の三か国を相手に、一人で立ち向かわねばならない。それどころか、韓国に至っては、もはや大陸勢力に寝返ったに等しい状況だ。
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韓国の次の標的は日本
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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