消費税増税で実質値下げのチェーン店。H&M、銭湯、日高屋…
繰り返し延期となっていた増税が10月1日に実施され、消費税が10%に上がった。軽減税率などの緩和策の影響もあってか、駆け込み需要のような極端な購買行動は比較的穏やかに済んだようだが、2%の増税はボディーブローのようにジワジワと私たちの財布に効いてくると話す専門家もいる。
そうした消費増税の中、総額「据え置き」とする企業がいくつかある。増税しているにもかかわらず総額が据え置かれるということは、「実質値下げ」ということになる。
今回は、値上げの嵐の中にあって「実質値下げ」を敢行した、私たちの強い味方をご紹介する。
近年の光熱費の上昇は、水を大量に使いガスで沸かす銭湯業界を苦しめている。様々な業態で値上げが続くと同様に、東京の銭湯も2006年に430円だった入浴料(大人)が2010年には450円となり、2016年に460円を経てこの10月に470円へと、一見すると着実に値上がりしているように見える。
しかしこれは消費増税と見比べていくとじつは「実質値下げ」されていることがわかる。消費税が5%だった2010年が450円でなので税抜き価格は428.5円ということになるのに対し、10%となった今年10月からが470円なので税抜き価格は427.2円となっている。電気・ガス・水道が値上げされ維持費の圧迫が激しい銭湯業界が、実はここ10年で1.3円の「実質値下げ」に成功していることはあまり知られていない。
ある銭湯の店主に聞くと、定休日や営業開始前の時間にイベントを開催したりグッズを制作して販売するなどの、個々の銭湯の知恵と努力の賜物なのだという。
また、所得の多寡に関係しない消費税の引き上げは、相対的に低所得者にとってはクリティカルな負担ともいえる。
「実質値下げ」を敢行した企業
ファストファッションからはH&M
軽減税率の適用される食料品や、本体価格が安価な日用品に比べ、服飾品は比較的そのインパクトが大きい。ファストファッション業界ではユニクロが増税後の値上がりの印象を抑止するため「税別表示」での陳列を、2014年の5%から8%に引き上げとなった際から実施しており、今回の増税後も継続されている。ファッションセンターしまむらでも、今回の増税のタイミングで同様の施策に踏み切った。 しかし、税別表示は2021年3月までの特例措置として認められているものであり、その効果は限定的。今後の動向が気になるところだ。そんななかにあって、今回の増税で、総額を据え置きにし「実質値下げ」に踏み切ったのがH&Mである。これは同社が「ファッションとクオリティを最良の価格でサステイナブルで提供する」というビジネスミッションを掲げていることが背景にあるようだが、消費者としてはありがたい。
銭湯の見えにくい実質値下げ
1
2
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ