「一蘭」の1杯1180円高級とんこつラーメンの実力を博多育ちの記者がシビアに判定
10月10日午前10時、銀座に「一蘭」が誕生した。一蘭といえば国内海外あわせて80店舗以上を展開する、豚骨ラーメン界屈指のブランドである。そんな一蘭が銀座で仕掛けたのは街のイメージ通り「高級ラーメン」。
そもそも同店は通常でも980円(税込/店舗によって違いあり)の高級とんこつラーメンなのだが、さらに、強気とも無謀とも取れる、1杯1180円(税込)の、ありえない価格設定で提供される天然とんこつラーメン(銀座重箱)というメニュー。プレミアムな一蘭とは一体どんなものなのだろう。
銀座駅から徒歩9分、新橋に近い場所にその店は生まれた。これまでの店舗に倣えば「一蘭 銀座店」とするところを「銀座一蘭」とすることで尊敬の念をあらわしているという。
訪れたのは日曜の13時ごろだったが、オープンから2度目の週末のランチタイムだというのに、一蘭でおなじみの行列がない。少し不安になった。
店内はカウンターのみの24席。行列はないが、さすがに混雑はしている。一蘭の代名詞とも言える、まわりの目をきにせずラーメンに向き合える半個室の「味集中カウンター」が並ぶ。腰掛けて、これもまた一蘭特有の「オーダー用紙」に味の好みを記入して注文し、ラーメンを待つ。
やって来たのはラーメンのイメージを覆す、四角い箱。これは一蘭が特別に製造した有田焼の「重箱どんぶり」で、福岡のわずかな店舗では提供されているが、東京には初めての登場となる。ラーメンの気構えで待っていると驚くことは間違いなし。しかし、ふと思い出したことがある。
一蘭には「15秒の掟」というものが存在する。これは「麺はスープの中で刻一刻と変化していきます。最も美味しい状態で召し上がっていただくため、ラーメンが出来上がってから15秒(28.8m)以内でお客様にご提供することを徹底しております」と語られてるものだ。
しかしまず、このラーメンには蓋がある。しかも割れ物であるため、慎重に外さなくてはいけない。どれだけ店舗設計と店員さんが15秒を徹底したところで、これでは、麺の最も美味しい状態は過去に向かって加速度的に遠のいていくと思うのだが。
そんなことを気にしながら蓋をあける。閉じ込められていた湯気が、一斉に立ち上る瞬間は、確かに食欲が刺激される。早速、スープからいただく。こちらは他店と同じもののようで、おなじみの臭みのない甘めのとんこつスープだ。このスープが美味しいことはこれまでの店舗でも証明済みである。
だが他店とは異なるところもある。銀座一蘭のラーメンだけに、麺とチャーシューは特別なものを使用しているのだという。
まず、麺をいただいてみる。美味しい。美味しいのだが、通常の一蘭と同じくらいの美味しさで、違いがほとんどわからない。麺の原料である小麦は、磨くほどに美味しさが増すと言われ、銀座一蘭では、小麦を丁寧に磨き上げた「大吟醸麺」というものを使っているのだそう。さらに大吟醸酒の酒粕を加えているため純米大吟醸酒特有のフルーティーな香りが感じられるとあったが、塩や醤油に比べてパンチの強いとんこつスープや、唐辛子ベースの秘伝のタレの刺激に押されて、香りはもちろん、通常の麺との差もほとんど感じられなかった。
今のところ、200円ほどの差がある通常の一蘭との違いは「どんぶりが四角い」というところだけだ。これでは、どんぶりの角をひとつあたり50円で買っていることになる。
続いてチャーシュー。実は私、以前に日刊SPA!で「一蘭の従業員に聞く、食べたほうがいいもの食べないほうがいいもの」の記事を書いたことがあるのだが、その「食べないほうがいいもの」にチャーシューがランクインしていた。ラーメン好きの声を聞いても、一蘭のチャーシューはあまり評判はよくないようだ。期待と疑心でチャーシューを食べてみた。
旨味の詰まった肉とキツすぎないタレがマッチして、確かに通常のものより圧倒的に美味しい。銀座一蘭のために作られた特別なチャーシューは、名誉挽回にかなり貢献できそうだ。
行列がない…大丈夫か?
蓋、いらなくないか……
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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