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詐欺未遂事件で逮捕の元なでしこ・井口祥。高校時代から注目のプレイヤーだった…

果たせなったクラブでの出場。代表からも離れ…


 女子サッカー界にとって大きなターニングポイントとなったこの年、井口祥は高校を卒業、なでしこリーグのINAC神戸に入団する。国内女子トップリーグでの活躍、さらに翌年のU20女子W杯へ向けて、プレイヤーとして高みを目指す道筋を辿っていくはずだった。  だが、代表選手が顔を揃えるなど選手層の厚さでは日本屈指の神戸でリーグ戦出場は叶わず、地元である茨城県リーグのKashima LSCへ移籍、その後、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースへと移るも、やはりリーグ戦出場はならなかった。日本代表においても、以降はメンバーに選ばれることはなく、3月のロシア遠征が最初で最後の代表選出となった。  2014年を最後にジェフユナイテッド市原・千葉レディースを退団、現役を引退していた。  女子日本代表なでしこジャパンが世界一に輝き、一気に世間からの関心を高めることとなった2011年、同じ年の3月のU19女子日本代表遠征での国際トーナメント優勝。注目度という点では比べるまでもない。それでも若きなでしこたちは未曽有の災害に包まれた直後の祖国を思いながらフィールドでプレーを続けた。  その事実は改めて振り返ると、今でも我々の胸の中に強く突き刺さる感情が生まれる。ゲーム後の選手たちのコメントには大きな不安と迷い、それでも勝利というニュースを届けられたという、僅かながらの安堵感を口にした選手もいる。  あのとき、隣国のピッチにいた彼女たちは様々な感情を抱きながら真剣勝負を戦っていたことは想像に難くない。サッカー選手として、人間として複雑な、それでも極めて貴重な経験を心身に刻んだ、2011年のU19サッカー女子日本代表の選手たち。  そしてそのチームの一人として、未来を切り開くために精一杯、戦っていた井口祥。その名前が、今、こういう形で出されるのは、本当に悲しい。<文/スポーツライター・佐藤文孝>
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