仕事

「売上目標」だけを現場に押しつける上司がダメな理由/アマゾン元幹部に聞く

「アマゾンで最後まで逃げ切ろう」という人はいない

――人事異動については、アマゾンではどう決めるんですか? 星:会社が決める異動はほとんどありません。どの国でどのポジションが空いているという情報が会社のイントラネットに出ているので、それを見て自分で手を挙げるんです。社内異動でも面接があるので、希望が必ず叶うわけではありませんが、本社で働きたいとか、別の部門も経験したいとか、チャレンジがしやすい。  このやり方には、デメリットもたくさんあります。情報や「経理一筋」のような経験の蓄積がされにくいし、引継ぎの手間もかかる。でもそれ以上に、活性化されるという効果のほうが、私は大きいかなと思います。 ――アマゾンに限らず、外資系は辞めていく人も多いと聞きます。 星:辞めていく人も多いのですが、常に新しい人が入り、新陳代謝が行われている。社内で一緒に仕事をする相手が変わっていくのでおもしろいですし、組織としても活気づきますね。  しかも、アマゾンでは毎年、採用する人の基準値を上げて全体のアベレージを上げているんです。だから、働くほうからすると非常に厳しい環境です。自分のパフォーマンスがいつ、会社の求めるものに到達できなくなるかもわからないですから。 ――やっぱり、厳しいんですね。のほほんと定年まで逃げ切る、というのは不可能? 星:そもそも、アマゾンで最後まで勤め上げたいと思っている人は一人もいないと思います。定年制度がないので、勤めようと思えば70歳80歳までいられるかもしれませんが、アマゾンでの経験を糧にして、他で活躍したいという人がほとんどだと思いますよ。 amazonの絶対思考 【前回インタビュー】⇒日本企業はなぜ没落したのか。“チマチマ病”という悪弊/アマゾン元幹部に聞く 【星健一氏プロフィール】
星健一氏

星健一氏

1967年生まれ。JUKIおよびミスミで海外現地法人の社長などを務める。2008年アマゾンジャパンに入社、リーダーシップチームメンバーとなり、創世期~成長期の経営層として活躍。2018年アマゾン退社後は、kenhoshi & Companyを設立し、セミナー講師、コンサルティングを手掛ける。2020年2月、「オイシックス・ラ・大地」に入社、COOに就任。著書『amazonの絶対思考』 <取材・文/鈴木靖子>
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