更新日:2023年05月23日 17:25
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検事総長に対する横紙破り人事は、安倍内閣vs法務・検察の死闘の幕開け/倉山満

安倍内閣と法務・検察、どちらかが叩きのめされるまで続く死闘が始まった

言論ストロングスタイル

2018年7月に就任記者会見を開いた際の、稲田伸夫検事総長。慣例で検事総長の任期は約2年。勇退前に、検察の生き残りと威信をかけて、安倍内閣と戦っていただきたい 写真/時事通信社

 絶句してしまった。この世に、これほど間違った内容を伝えるジャーナリストがいるのか。もはや、ここまで間違っていると、ジャーナリスト生命の危機ではないかと、他人事ながら心配になる。普通は人間のやることに100点も0点も無いものだが、今回は極端な例外だ。特に恨みはないので名は秘すが、何もかもが間違った発信で世を惑わし、当方にまで迷惑がかかってきた。  曰く、「黒川弘務東京高検検事長の定年が、誕生日直前になって延長されたが、首相官邸は政治介入などしていない。事実は、法務省が林真琴名古屋高検検事長を次期総長に推したら、官邸からは返事が無かった。そこで官邸の意向を理解した法務・検察が黒川氏を次期総長に推す案を検討したが、これに現職の稲田伸夫総長がカルロス・ゴーン逃亡事件の責任を取らされたと思われるのが嫌で駄々をこねた。そこで黒川氏の定年を延長し、稲田氏が夏の定期異動まで居座れるようにしたのだ。むしろ、黒川氏の昇進阻止、林氏の出世を望む朝日新聞が意図的に歪曲報道をしている。朝日新聞こそ、検察への人事介入をやめろ!」云々。  このジャーナリスト氏の言い分が事実だとしたら、首相官邸は「林総長案」を蹴り、人事介入をしているではないか(失笑)。また、安倍首相はメディアや野党の攻撃を甘受してまで法務・検察に配慮してあげた、お人よしということになる。贔屓の引き倒しだ。そして、稲田現総長だけが悪者になる。眉に唾を大量につけて聞かねばならない、与太話だ。  ところが、ネトウヨ相手の商売など、チョロイものだ。こんなタワゴトを根拠に「お前の言っていることは自分が聞いた話と違う!」と私に抗議してくる人間がいる。「お前の信じている人間こそ全部デタラメなのだから仕方が無かろう」としか言いようがないのだが。  ネトウヨ界隈なら、「安倍首相は100点、安倍さんに逆らうパヨクは0点!」程度の言論で済むのだろうが、次元が低すぎる。  しかし、罪なものだ。愚かなネトウヨとて、最初から愚かなネトウヨだった訳ではない。世の中のことを知りたいと思って、騙された哀れな存在なのだ。そして、純真な人間を騙して食い物にする人間が、いわゆる保守論壇には溢れている。そろそろ、一掃すべきか。  さて、今回の首相官邸の検察人事への介入は大事件である。首相官邸の主である安倍内閣と法務・検察、どちらかが叩きのめされるまで続く死闘が始まったのだ。
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この状況を検察が打開する方法はただ一つ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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