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菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか、「仲間」を目指すのか/倉山満

菅外交は、アメリカの「お友達」を選ぶのか、「仲間」を目指すのか

言論ストロングスタイル

現地時間の11月3日に投開票された米大統領選。菅内閣は外交でも「安倍内閣の継承」をするのだろうか 写真/時事通信社

 安倍晋三前首相が居なくなって、国会論戦も落ち着いてきた。相変わらず「いつもの野党」は学術会議で責め立てるが、かつての「反安倍」VS.「反・反安倍」のような感情的な対立は影を潜めた感がある。  安倍内閣の頃は、野党が一言でも「モリカケ」を聞こうものなら、テレビはそこだけを執拗に流していた。野党幹部も、政権のスキャンダルを徹底攻撃する姿勢を良しとしたし、安倍応援団もそうした野党に宗教戦争の如く反撃するのが己の使命であると信じ込んでいるかのようだった。不幸な状況だった。  ところが今は、余裕がある。菅義偉首相が「全集中の呼吸で」などと大ヒット漫画『鬼滅の刃』のセリフを引用すると話題となる。本来、国会とは、与野党ともに国の為に穏やかに話しあう場である。ようやく、「アンチ」と「アンチへのアンチ」以外の議論が介在する余地が出てきた。野党でも国民民主党は学術会議に一言も触れず、与党に対して提言を行う形で国民に選択肢を示している。かなり健全ではないか。  さて、識者の間では想定されていた事態だが、アメリカ大統領選挙が泥仕合と化している。ドナルド・トランプ政権が存続すれば政策は継続されるが、ジョー・バイデンに交代すれば新たな方策を日本も考えねばならない。ここで安倍政権の外交を振り返りつつ、菅内閣が何を引き継ぎ、何を改善したいかを考えたい。

トランプは中国に対決姿勢

 まず、トランプは台頭する中国に対決姿勢を示してきた。これに関しトランプの暴走との誤解があるが、違う。トランプは議会で超党派を組んで中国と対決している。仮にバイデン政権になっても、温度差はあろうが、方向性は変わらないだろう。そもそも、アメリカ民主党といえども、強すぎる中国は好まない。  ただ全面的な対決姿勢かというと、トランプですら違った。かつて、ロナルド・レーガンはソ連を潰すと宣言、自らの任期8年では果たせなかったが、後任のジョージ・ブッシュの時代に実現した。レーガンとブッシュは、景気回復を成し遂げた後、軍拡競争を挑み、国際協調体制による包囲網を構築、あらゆるインテリジェンスを駆使して、ソ連崩壊に導いた。  では、今の中国が滅び際のソ連のような状態かと言えば、違う。習近平の共産党支配は強固であるし、経済力はアメリカに追い付け追い越せの世界第二位の実力、外交的にはむしろ攻勢をかけているほどだ。このような中国を潰す力は、今のアメリカには無い。だからこそトランプは、中国に圧力をかけて、政治的経済的取引を有利に持ち込もうとしていたのだ。バイデンも、基本路線は変わらない。中国の方は、仲間がいないトランプよりも、国際協調による対中包囲網を実現しかねないバイデンこそ警戒しているとか。もっとも中国は、それを黙って見ているほどお人よしではないが。
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「自立した強い日本」への道は、軍事力を裏付ける経済力の回復だ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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