更新日:2023年05月23日 17:28
ニュース

「北方領土返還は国益に結びつく?」一般人の疑問に佐藤優の見解は…

 北方領土というと、大多数の国民が歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の4島を考えます。これは東西冷戦期に日本政府が作った神話です。日本政府が「四島一括返還」と言い始めたのは、戦後から30年を経た’75年のことです。当時は、共産主義国であるソ連と接近しないことが日本の国益に適うと政府が考えていたので、ソ連が絶対に応じない四島一括返還という要求を掲げたのです。  実は、’51年のサンフランシスコ平和条約で、日本は国後島、択捉島を含む千島列島を放棄しています。この事実を基礎にすれば、北方領土問題の解決はできます。2018年11月14日にシンガポールで安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が「’56年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速する」ことに合意しました。  日ソ共同宣言では、平和条約締結後にソ連が日本に歯舞群島と色丹島を引き渡すことが約束されています。’91年にソ連は崩壊しましたが、ロシアは継承国なのでソ連が締結した条約の義務を履行しなくてはなりません。歯舞群島と色丹島の2島に対する日本の主権を確認する交渉をできるだけ早く進める必要があります。 ★今週の教訓……四島一括返還は日本政府が作った神話です
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

◆募集◆
佐藤優さんへの相談を募集中。匿名希望の方はペンネームを記入してください。採用者には記念品をお送り致します。⇒応募はコチラから https://nikkan-spa.jp/icol_form

生き抜くための読書術

ウクライナ危機、元首相暗殺事件、コロナ社会、貧困etc. 分断社会を打破する書物とは?

1
2
おすすめ記事