更新日:2023年05月24日 14:37
仕事

「新型コロナウイルスの影響で会社が潰れそう」政府が憎い男性29歳へのアドバイスは?

 “外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
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※写真はイメージ

新型コロナウイルスの影響で会社が潰れそうです

★相談者★ 黒子(ペンネーム) 会社員 男性 29歳  新型コロナウイルスで私が勤めている会社が潰れそうです。イベント会社ですが、軒並み自粛ムードからイベントがキャンセルになって売り上げが立たず、経費はかかり続けるため、事務職は当面、自宅待機となっています。私を含めた営業だけがキャンセル処理などに対応し、社長は毎日資金繰りのために奔走しています。  今月中に新型コロナ問題が落ち着かないと、持たないでしょう。今となっては、大丈夫、大丈夫と何も対策を打たずにきて、急に学校に休校要請して自粛ムードを煽った政府が憎いです。もっとやり方があったんじゃないでしょうか? 健康な食生活を心掛け、たまの休日にはイベントでストレスを発散する。そんなことも許されない社会にしたのは政府ではないでしょうか?(マスコミも?)佐藤さん、ぜひアドバイスをよろしくお願いします。 ◆佐藤優の回答  新型コロナウイルスをめぐり経済活動が収縮しています。その結果、資本力の弱い企業は倒産すると思います。政府が小中高校の休校要請をしてもしなくても、結果は変わらないと思います。予測不能の事態が生じ、経済が縮小し、一部の企業が倒産するのは、政府の責任ではなく、資本主義システムがもたらす必然的結果です。企業再生専門家の冨山和彦氏はこんなことを述べています。 ===== 「会社は滅びる」という前提で経営することが大事だ、という例をこれまで見てきた。それでは、そこで働く人たちはどうすればいいのか。 「別に会社がどうなっても構わない」という自立した個を持っている人ならば、大丈夫である。でも、そういう日本人はおそらく少数派である。そうではない多数派の人たちが、自分のよって立つところをどこに置くのかという問題が出てくる。  やはり会社という仕組みに自分をゆだねたい人は、とにかく会社を厳選することが大切である。  自分がサラリーマン生活を送る間に、できるだけ消えてなくなる可能性が低いところに入ればいいのである。  確かに、競争がある以上、どの企業にもつぶれる可能性がある。しかし例えば、地域独占で電力を供給する電力会社などがつぶれる可能性は極めて低い。(中略)事業や職業に自分の身をゆだねるという選択もある。  会社がどうなるかわからないこれからの時代、しかも経済のサービス化が進む時代には、「手に職がある」「専門知識がある」といったジョブ型の働き方を目指す人が、少しずつ増えていくだろう。  企業は滅びるということを前提にすれば、30年、50年と一生同じ会社に勤めることができる人はどんどん少なくなっていく。多くの人はL(Local=地方)の経済圏にある中小企業やサービス産業に勤める。だとすれば、高等教育段階でもっとジョブに関わるスキルを教えてあげればいい。(『選択と捨象――「会社の寿命10年」時代の企業進化論』244~245頁) =====
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倒産しても能力を発揮する場は失われない
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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