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Zoomで「安倍やめろ」デモをやってみた

首相官邸前で、Zoom越しのシュプレヒコール!

 4月16日18時。ついにデモ本番の日がやってきた。 「安倍辞めろ」と書いたちゃんちゃんこを着て準備万端の藤倉氏。さらにZoomでリモートデモに参加している人の顔が並ぶタブレットを首から下げ、スマホに接続した拡声器を片手に国会前に立つ。
リモートの限界に挑戦!

Zoom参加のメンバーとともにシュプレヒコールを上げられるようタブレットを首に下げ設置。Zoom側からはデモの様子が見られる

 日も落ちた国会前に人通りはなく、聴衆は監視のためやってきた数人の警察官だけ。だが、藤倉氏はめげることなく国会議事堂に拡声器を向けた。 「リモートで参加する全国1100万人の抗議の声を、心して聞いてほしい!」  リモートだからバレないと思ったのか、参加者数を“ちょっとだけ”水増ししてアピール。そして、政府の「補償なき自粛要請」を批判する声明文を読み上げる。だが、なぜかこれを読むのはタブレット越しに北海道から参加中の日の丸ハチマキに学ラン姿の男性だ。 「話を聞け! 昭恵! 男一匹が命をかけて訴えてるんだぞ!」
リモートの限界に挑戦!

Zoom参加とはいえ、一人ずつ独演タイムを設けて各々の主張を叫ぶ。音声も、拡声器に接続さえすればクリアに鳴り響く

 三島由紀夫演説さながらに、自粛要請のなか、各地に赴く首相夫人への批判をアドリブで加える。 「外出自粛を求めるならカネよこせ!」 「10万円じゃ足りないぞ!」  ここで拡声器からリモート参加者たちのシュプレヒコールや野次が響く。音量だけなら本物のデモと全く変わらない。しかしデモ隊(?)を取り囲む警察官たちは「こんなデモは初めて見る」と緊張感のない苦笑いを見せていた。 リモートの限界に挑戦! そして、1時間ほどで抗議活動は終了。最後に藤倉氏がZoom越しに参加者に呼びかける。 「我々の闘いは勝利だった。全国の学生、市民、労働者の皆さん、我々の闘いは決して終わったのではなく、我々に代わって闘う同志の諸君が、再びZoomでリモートデモを真に再開する日まで、一時この放送を中止します!」  感動的な締めくくりの演説は、’69年の東大・安田講堂攻防における「時計台放送」だ。  その後、参加者に感触を尋ねた。 「抗議の声を国会や自民党に直接ぶつけることができたという確かな手応えがありました。リモートでも声を上げることが重要」(加藤梅造氏・ライブハウス運営) 「リモートなら国会前でのデモも遠方から参加するハードルが低い。顔や所属を隠したいという人にも参加しやすいのでは」(匿名参加者)
リモートの限界に挑戦!

途中、強い雨が降り寒さに震えながら叫ぶ藤倉氏とは対照的に、リモートデモ隊は自室でぬくぬくと野次を飛ばしていた

 中には、パソコンやスマホの前に座ったまま拳を突き上げるため、「腰が痛くなった」といった声も。歩きながらのデモのほうが、体にはいいのかもしれない。  本邦初の試み(?)となったリモートデモ。日本全国はおろか海外在住の人でも参加できるリモートデモは国民が声を上げる、新たな可能性を示したのかもしれない。 ★挑戦結果……遠隔でも通常デモ同様主張ができた実感あり。身分を隠して参加も可 <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!4月28日発売号の特集「[好評につき第2弾!]リモートの限界に挑戦!」より
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週刊SPA!5/5・12合併号(4/28発売)

表紙の人/ 西野七瀬

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