お金

ソフトバンクはLINEを買収して何がしたかったのか?

LINE統合でこれから変わること

 では、そんな無駄なペイ戦争が終わった先にソフトバンクが見せる未来とはどのようなものでしょうか。それはLINEがこれまで取り組んできた事業を見れば明らかになってきます。  一つは、金融サービス。  LINEは国内で約8200万人を超える月額利用者を抱えており、LINE決済やアプリを通じた総合的な金融サービスに力を入れています。中でも、LINEペイは資産運用や保険、ローンなどの金融事業を展開しており、フィンテック事業が強いのが特徴です。  LINEとyahooが統合することで、ユーザー数や利用可能店舗数の拡大はもちろん、効率化され、証券取引サービスなどの金融事業がより大きくなるでしょう。  経営統合後の目指す姿は「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」。顧客数の増加と、金融事業のさらなる強化によって、LINEで給料の振り込みから決済、貯金、ローンの支払い、そして投資まで担えるようになるのです。  では、ソフトバンクが、通信プラットフォーマーとして決済を抑えた先に目指すものはなんでしょうか。  経営統合実施後のストラクチャーイメージを見てみましょう。  LINEと(ソフトバンク傘下のヤフー持株会社の)Zホールディングスとの経営統合は、2020年10月に統合完了を目指しています。  統合完了後、ZホールディングスがLINE事業を100%保有することになりますが、Zホールディングスの65.3%をジョイントベンチャー(合弁企業)を通じてソフトバンクとNAVERらが50%:50%で保有することになります。  頂点にいるのはソフトバンクグループです。孫社長は「IT業界は勝者総取りの世界」と発言しています。つまり、すべてにおいて、業界のNO.1でなければならないのです。今回の記事で明らかになったように、ソフトバンクは通信業界だけでなく、すべての産業でのプラットフォーマーになることを目指していることが明らかになったと思います。  次回は、自動運転をキーワードに、「交通プラットフォーマー」としてのソフトバンクを見ていきましょう。
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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