右翼と左翼は一緒にデモができる

【右派を代表する論客3人が脱原発を語る】

 「右から考える脱原発ネットワーク」によるデモ終了後、主催者である統一戦線義勇軍議長・針谷大輔氏、一水会最高顧問の鈴木邦男氏、右派の立場から脱原発を積極的にネット上で発信するnoiehoie(ツイッターネーム以下「no」)氏の3者が、今なぜ右からの脱原発運動が必要なのかを語り合った。

◆右翼と左翼は、一緒にデモができると思う

鈴木 僕も最初、「右から考える」ってタイトルはいらないんじゃないかと思ったんですよ。でも、それは正解だった。例えば1回目に東電本社前でやったときも、それまで左翼デモばかりで、「結局、左翼運動じゃないか」と言ってたのが、右翼の人たちも来たと。東電側にとってはすごい衝撃だったと思う。そういう意味でも「右から」というのはよかった。

針谷 大事なのは本当に緊急事態と認識している人とシンクロできるかどうかなんです。極端に左がかった危機感のない人たちによって脱原発運動がどんどん悪い方向に導かれている。一般の人たちにそれに気がついてもらって、彼らと一緒に議論をしながら“脱”原発を訴えかける場にしたい。

鈴木「右翼と左翼は一緒にデモはできないんですか」と聞かれたことがあるけど、僕はできると思うんです。左翼が拒絶しているだけで、スローガンを統一しようとか、日の丸や赤旗はやめておこうとか、そういう話し合いはできるはずです。でないと、今の脱原発デモのなかでも、例えば日大全共闘とかの幟を持ってくる人もいる。すると警察は「ほら見ろ」となる。市民運動を装っているけども、中核や革マルが背後にいるんだと政治家に報告するわけです。それを政治家も信じてしまっている。

針谷 右翼にも警察はそういう情報を流します。左がかかったやり方をしてると、どんどん一緒にできなくなっちゃう。警察が情報操作をうまくやるんですよ。

no ネット上の意見を見ても、「今、脱原発を主張する人間は左翼だ」と信じている人たちが相当数います。例えば在特会(※1)などはまさにそうで、彼らは自分たちが保守、右翼だと言いますが、主張は単に反左翼、反韓国、反中国、反北朝鮮でしかない。実際は原発に対する明確な考えなんてないのにアンチ脱原発を主張し、それが警察に利用されて白色テロ化(※2)しているんです。にもかかわらず、 9・11の脱原発デモ(※3)以降、悲しいかなその声が説得力を持ちつつある。

鈴木 それはまずいですよね。従来、左翼の脱原発運動はヒステリックで、一切の妥協を許さないという人たちが大勢いた。実際、原発が必要と言う側だって100%安全とは思ってないですよ。だからこそ、カネをかけて安全性を向上しようと思ってても、あまりにも脱原発勢力がヒステリックだと、絶対安全なんだと言うしかなくなってしまう。で、本来ならば安全管理に出すべきカネを、そういう論調で語る学者や評論家に出してきた。原発は確かに経済的には安い、一方でこれだけの危険性がある、それゆえ日本の技術力で危険性を極力減らしていくんだと、建設的な議論を行っても、ヒステリックにワーッとやられてしまう。その意味ではこれまでの脱原発運動には責任があると思うんです。もちろん、我々にも。

針谷 言い方は悪いですけど、結果的に今の脱原発運動は左翼が邪魔している。左翼が自分たちの運動だと思わないでくれればもっと広がる。「右からの」とあえて言わなければいけないところに、脱原発運動が位置づけられちゃったんです。

⇒『右翼主導のデモ「純粋に危機感を感じてるからやっている」』に続く

※1 在特会:「在日特権を許さない市民の会」の略称。’07年発足。会長・桜井誠氏。歴史的経緯から在日韓国人・朝鮮人が他の永住外国人の中で有利な扱いを受けていることを批判している。※4の9・11脱原発デモの際には、それに対抗して「反反原発」のカウンターデモを行った。

※2 白色テロ:体制側からの反体制側に対する弾圧行為の意。原義はフランス革命中の王党派による革命派への報復。白色はフランスの王権の象徴である白百合に由来する。

※4 9・11の脱原発デモ:9月11日に東京・新宿を中心に行われた「素人の乱」主催の脱原発デモ。12人の参加者が公務執行妨害などで現行犯逮捕された。

【noiehoie氏】
ツイッターやブログなどを中心に活発な言論活動を行う。「保守/右翼であるからこそ、排外主義と戦わなければいけない」が持論

【鈴木邦男氏】
一水会最高顧問。産経新聞社勤務などを経て、’72年に新右翼団体・一水会を結成。’99年に顧問就任。近著に『新・言論の覚悟』(創出版)

【針谷大輔氏】
統一戦線義勇軍議長。’87年に住友不動産会長宅襲撃事件に参画した。現在は新右翼を代表する人物として弁舌、活動を展開する

― 右翼だって反原発その主張を聞いてみた【6】 ―




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