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“一強”は安倍首相ではなく財務省。政治家に忖度などするはずがない/倉山満

神輿は軽くてパーがいい

 ちなみに「安倍一強」などと批判する御仁は、安倍首相がマッカーサーのような絶対権力を握っているとでも思っているのだろうか。麻生太郎財務大臣や二階俊博幹事長が「神輿は軽くてパーがいい」と思っているから、使い勝手の良さで長期政権にしてもらっているだけだと微塵も考えないのであろうか。  その麻生氏も財務省の走狗であるのは誰もが知るところであり、二階氏とて「財務省主計局と話がつけられる」から実力政治家なのだ。  先日の「和牛券」騒動を思い出せばよい。自民党において実力政治家とは、「限られた財源から自分の支持者に予算を獲得できる政治家」なのだ。国家の経済を成長させて財源そのものを拡大するとか、国民全体に富を配分すると言った発想は無い。言い換えるならば、「財務省主計局に頭を下げるのが上手い政治家」こそが実力政治家なのだ。  安倍批判者は思い込みで財務省を過小評価しているが、それでは事の本質を見誤る。  官庁人事が一段落すれば、政治の季節だ。既に自民党実力者は頻繁に会合し、勢力争いをしている。二階幹事長は公明党を引き連れて安倍包囲網辞さずの形勢だが、麻生財務大臣が守っている限り、安倍倒閣への決め手は無い。  その膠着を少しずつ崩しているのが検察で、河井前法相夫妻事件で安倍首相本人の名前が挙がっている。  安倍首相は潰されるまで待つか、余力を残して辞めるか、それとも破れかぶれの中央突破か。  抗争は、これからが本番だ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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