ニュース

赤木ファイル、公文書改ざんは万死に値する<元衆議院議員・福島伸享氏>

―[月刊日本]―

「赤木ファイル」が明かした新事実

書類

写真はイメージです

―― 森友学園をめぐる公文書改ざん問題で自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さんが残したファイルが開示されました。赤木ファイルをどう受け止めていますか。 福島伸享氏(以下、福島) 森友問題では、なぜ国有地が安くなったのか、その過程でどのような意思決定が行われたのかという核心部分は未だ闇に包まれたままです。  一部のメディアは赤木ファイルの開示で真実が明らかになるのではないかと期待値を高めていましたが、赤木さんは国有地の売却に関わった人ではありませんから、赤木ファイルでもその部分は明らかになるとは元々思っていませんでした。  赤木ファイルの新事実は二つあります。一つは、赤木さんが改ざんの作業過程を記した「備忘記録」の存在です。赤木さんが改ざんに抵抗した証になっています。  もう一つは、2017年2月16日に財務省から近畿財務局(近財)へ送信された「290217福島議員」という題名のメールです。この日、私が財務省に翌日の予算委員会の質問通告を行ったことをうけて、「福島議員への宿題返し」として、私が要求していた国有地の売却に関する決裁文書を出さないようにするという内容でした。  このメールの開示にあたっては、公人たる財務官僚の名前は黒塗りされている一方、現在は一私人である私の名前は黒塗りにされていない。財務省の身内びいきは腹立たしい限りですが、ここから公文書改ざんが始まり、赤木さんがそれに関わっていくことになったことを思うと忸怩たる思いです。 ―― このメールの翌日17日、福島さんは衆議院予算委員会で、安倍総理から「辞任」発言を引き出します。 福島 当時、私は民進党の国対副委員長で、衆議院予算委員会の委員でもあったので、安倍政権の構造的な問題を明らかにしようと森友問題を取り上げたのです。  しかし昭恵夫人が森友学園の名誉校長になっている事実について「総理はご存じでしょうか」と質問しただけで、安倍総理は突然「私や妻が関係していれば、総理大臣も国会議員も辞める」と繰り返し強弁したのです。ここから森友問題は総理の進退を懸けた大事件になったわけです。

安倍前総理の「辞任」発言

―― 2月26日には財務省から近財へ「【重要・作業依頼】」という題名でメールが送られ、決裁文書から昭恵夫人の発言等を削除するよう指示が出ています。 福島 安倍総理の「辞任」発言が飛び出した2月17日から、財務省が改ざんを指示した26日までの10日間で、決裁文書の改ざんが決定されたということです。  おそらく財務省は2月17日以降に決裁文書を見て仰天したはずです。そこには昭恵夫人の発言はおろか、籠池氏と撮った写真まで添付されていたわけですから。安倍総理は関わっていなくても、昭恵夫人が関わっていることは明白です。財務省は2月16日のメールで「実害がなさそうなら、追って、提出」などと書いていましたが、「実害」どころか「これでは内閣が潰れてしまう」と、さぞかし焦ったことでしょう。  決裁文書を見た財務省は、直ちに官邸に報告したはずです。総理の進退が懸かった「昭恵夫人案件」であることが明らかになってしまうのですから。私は官僚時代に佐川宣寿理財局長と仕事をしたこともありますが、自らが責任を負わないように細心の注意をしていましたから、一人で公文書の改ざんなんて大それた決断を下せるような人物ではありません。  いずれにせよ、この10日間で財務省と官邸の間で改ざんが決定されたことは間違いありませんが、その経緯は未だ明らかになっていません。 ―― 安倍総理はツイッターで「赤木氏は明確に記している。『現場として(森友学園を)厚遇した事実はない』この証言が所謂『報道しない自由』によって握り潰されています」などと述べています。 福島 赤木さんが土地取引には関わっていない以上、赤木ファイルに「現場として厚遇した事実はない」と記されていても、その証明にはなりません。「現場」にいなかったのですから。  赤木ファイルでは2017年2月以降の財務省と近財のメールのやりとりが記録されていますが、財務省はそれ以前から近財や官邸とメールなどでやりとりをしていたはずです。安倍さんがそこまで言うなら、財務省に指示して森友学園に関するメールを全て開示させるべきです。たとえ「消去した」としても、技術的に復元は可能なはずです。総理だけではなく国会議員も辞めることになるかもしれませんが、少なくとも昭恵夫人が関わっていた事実は認めるべきです。
次のページ
「吏道」を廃れさせた安倍・菅政権
1
2
3
げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。

記事一覧へ


gekkannipponlogo-300x93

月刊日本2021年8月号

【特集1】東京五輪 敗戦の歴史に学ばない日本
【特集2】立花隆研究 「知の巨人」の虚像
【特別インタビュー】菅総理は「君側の奸」だ(元衆議院議員 亀井静香)、赤木ファイル 万死に値する公文書改ざん(元衆議院議員 福島伸享)


おすすめ記事