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JR東海が生き残る道、キーワードは“空港ラウンジおじさん”

それでもJR東日本がコロナに強い理由

 というのも、JR東海は運輸事業が占める割合が事業全体の9割超と、JR東日本とJR西日本の二社に比べてもかなり高いからです(二社は7割ほど)。  つまり、人が移動しなくなると、JR東海はその打撃はかなり大きくなるのです。続いて、JR西日本はどうでしょうか。  こちらも、2020年1~3月期の営業損益は305億円の赤字で、純利益も32.8%減となっています。同社は鉄道事業、ホテル事業の依存度が高く、やはりJR東海ほどではないですが、鉄道事業の減収が大きな打撃となっています。  では、この中で最初にコロナ不況から脱出できそうな鉄道会社はどこでしょうか。それは、ズバリJR東日本です。  JR東日本は、売上全体に占める運輸事業の売上割合が63%とトップですが、これに続いて、決済・サービス(18%)、不動産・ホテル事業(11%)が続いています。 JR東日本 コロナの影響により、駅ナカのテナントが撤退するなど不動産事業の売上は落ち込んでいますが、その一方で同社は多角的な戦略をとっているため、運輸以外にも売上を立てられるのです。  2018年、JR東日本は「変革2027」という経営ビジョンを発表しました。その中で、同社は鉄道を中心とした輸送サービスの次に「生活サービス事業およびIT・Suica事業」に力を入れると発表しています。これは、決算資料のセグメントでは、「決済サービスとその他」に分類されるものです。  今は売上高が運輸事業に偏っている同社ですが、今後は輸送以外の比率を40%に高めていくと打ち出しており、事実その実現に向けて多角的な取り組みをしています。  最大の強みは、発行数8000万枚、元祖キャッシュレス決済ツールのSuicaです。現在、Suicaの伸び率は鈍化していると言われているものの、Suicaは移動情報・決済情報・購入情報などの膨大なデータを保有しており、それ自体が、マーケティングにおいてかなり有益な武器となります。  つまり、運輸事業に頼らずとも、Suicaによってたまったマーケティングデータを活かし、様々な企業とコラボできそうなのがJR東日本なのです。
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新幹線にも“ラウンジおじさん”
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