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「1か月の私生活録画データを20万円で買う」に応募者1000人超。果たして高いのか?

満員電車に揺られ、上司の顔色を窺う生き方もいいが、誰にも邪魔されずわが道をゆき、カネを摑む道もある。この時代、想像だにしない稼業も現れている。本記事では、被験者の私生活を録画したデータを20万円で買い取るというプロジェクト「Exograph」を実施した遠野宏季氏に話を聞いた。
自分を売って稼ぐ

写真はイメージです

私生活20万円!「自分売り」の価値観

 現代の労働者の多くは、働く場所と時間を拘束され、そうして自分を売った対価として給料をもらっている。遠野宏季氏は、そんな既存の労働観に一石を投じるべく、被験者の私生活を録画したデータを20万円で買い取るというプロジェクト「Exograph」を、昨年11月に実施した。 「近年、GoogleやFacebookによるプライバシーデータの活用が問題になっていますが、裏を返すとプライバシーはお金になるということ。ならば公明正大に『対価を払う。あなたのデータが欲しい』と言った場合、世間がどう反応するかを知るための社会的実験としてやってみたんです」  応募者は1311人に達し、多くは20~30代。そのうち4人を選び、1か月間の自室における私生活をカメラで撮影・録画した。 「志望動機の半数は、金銭的報酬でしたが、興味深いのは多くの人が金銭以外の目的を挙げていたことです。『自分のデータの価値を知りたい』『データが役に立つのであれば嬉しい』という意見が多かった。このようなデータドネーション的な社会貢献や、他人からプライベートを見られることへの抵抗のなさは新しい社会のトレンドだと思います」

「臓器売買と変わらない」との声も

 もちろん、私生活を切り売りする点への反発は強く、中には「臓器売買と変わらない」という批判もあったという。だが遠野氏もまた、時間に縛られる既存の労働形態に同様の疑問を呈す。 「現代の労働は寿命80年のうち40年を生涯賃金2億~3億円で売っているにすぎない。命の本質はその人が生きている時間であると考えるなら、最も貴重な有限の時間を切り売りしている今の労働形態のほうが臓器売買的な側面があるのではないかと思います」  将来的に私生活データの販売だけで生きることが可能になるかもしれない。ただ「重要なのはどちらの価値観も認めることです」と遠野氏は言う。果たして労働の価値観はどう変わるのだろうか。
遠野宏季

遠野宏季氏

遠野宏季氏】 Exograph発案者。京大工学部卒。同大学院在学中に創業したAIベンチャーを、’18年12月に京セラグループに売却。’19年11月にPlasmaを設立。 <取材・文/沼澤典史(清談社)>
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