カーライフ

スタッドレスタイヤは冬しか使えないのか? 実際に試してみた

メーカーは推奨していないけど選択肢としてはアリ

 いや、決して万人にはすすめません。未だに世の中、「スタッドレスは冬だけのもの」「そのまま使ったらすぐボウズになる」「特にウェット路面で滑りやすくて危険」「スタッドレスをずっと履きっぱなしにするなんてバカ!」という神話が生きている。雪国でブリヂストンの「ブリザック」が圧倒的に強いのと同じで、一度刷り込まれた神話はなかなか消えない。  タイヤメーカーも推奨していない。タイヤメーカーやタイヤショップにすれば、そんなのが世に広まったらオマンマの食い上げだ。口が裂けても推奨などするわけがない。  しかし実際は、スタッドレスの性能向上ぶりは、ダンロップやミシュランなどのロングライフ系銘柄なら、通年履きっぱなしを十分可能にしている。特に、パワーの小さい小型車で、年間走行距離が少なめな方には、冬の備えとしてアリな選択肢だ。私もさすがにフェラーリやランボルギーニにスタッドレスタイヤを履かせようとは思いません。  丸5年使ったら、アイスバーンではヤバいかもしれないが、太平洋側のたまの雪程度なら十分対応可能。ノーマルタイヤも5年くらいで交換するのが望ましいわけなので、もはやロングライフ系スタッドレスを「オールシーズンタイヤ」と考えても問題はないはずだ。  マリオの周囲では、私をはじめ、年中スタッドレス履きっぱなし実践者が地味に増えている。  週刊SPA!の担当Kも、FR(後輪駆動)のBMWで冬だけ3シーズン、合計約1万km使用したピレリのスタッドレスタイヤ「アイスアシンメトリコ」を、FFのシトロエンC5で使いまわして2年、約1万5000km履きっぱなしでスキーにも出かけたそうだ。
シトロエンC5

雪国出身の担当Kはブリザック信者だが、スキーに行くにも9割がた雪がない道路を走る東京住まいならピレリで十分と割り切っている

「マメにタイヤローテーションをしましたが、5シーズン目の冬はさすがに溝が5mm以下になってきたので、雪国に行くのはやめました!」(担当K)  担当K曰く、スタッドレスタイヤを履いていることは常に意識していたという。特に、スタッドレスタイヤが苦手な雨の日の走行は気をつけていたそうだが、少なくとも私はスタッドレスタイヤの履きっぱなしで雨の日に怖い思いをしたことはない。雨の日の走行は、摩耗して溝があまりないサマータイヤより、溝があるイマドキのスタッドレスタイヤのほうがマシだと思っている。もちろん、雨の程度にもよりますが。  ま、ほんの数人の体験談ですが、こんな方法もあるということで……。 取材・文/清水草一
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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