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緊急事態宣言でもパチンコ店が営業自粛しない裏事情

スケープゴートにされた記憶が再び蘇る

 年末年始の新型コロナウイルス感染拡大を受け、緊急事態宣言を要請していた東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を対象に、宣言が発令されたのが1月7日のこと。その詳細については他のニュースに譲るが、宣言が再発令されたことで多くのパチンコ業界関係者は昨年のゴールデンウィーク前後の苦々しい記憶がよみがえっているのではないだろうか。
パチンコホール

「朝から並ぶ人もめっきりいなくなりましたね。寂しいもんです」と語るのは関東地方の某ホール店長。業界の未来はどうなるか……(写真はイメージです)

 昨年4月の緊急事態宣言下では全国的にホールの休業が要請され、ほとんどのホールが粛々と従っているなかで、それでも頑として営業を続けたホールが存在していたのは紛れもない事実である。しかしその極めて一部にしか過ぎないホールをまるで業界全体の動向かのように取り上げ続けた大手メディアの報道、またストレスのはけ口を探していた人々の自粛警察化もあり、業界は並々ならぬバッシングを浴びてしまったことも記憶に新しい。また、この時期にホールでクラスターが発生というニュースも流れたが、後に医師会側が誤報であったと正式に謝罪したことについてのフォローがあったかは定かではない。
パチンコ通達

ホール団体から送られた緊急事態宣言による営業についての「呼びかけ」が書かれた文書

 まさにスケープゴートの典型的な例であり、後にターゲットはライブハウスや劇場、また夜の街へと移っていくのだが、このバッシングによってパチンコ業界が受けたダメージは大きく、ホールの稼働率は8割程度まで戻っていれば御の字という状況が続いている。  もちろん一部とはいえ足並みを揃えられなかった業界側にも問題があるのは間違いなく、同時に足並みが揃わなかったホールに対して自浄作用としてのペナルティが与えられなかったことで、ある大手チェーンが人気パチスロ機を撤去しないという事態にもなっているが、そんななかでの緊急事態宣言の再発令。業界関係者が戦々恐々とするのは想像に難くない。

法的拘束力のない「呼びかけ」

 ただし今回の宣言では、前回と異なりホールは要請の対象になっていないという点で決定的に異なっている。法に基づく営業時間を20時までとするという時短要請は飲食店が対象で、ホールを含むその他の施設については法的拘束力がない「呼びかけ」に過ぎない。それでも公的施設や食料品以外を扱う商業施設などは呼びかけに従うようだが、業界についてはどうだろうか。  宣言発令日に、1都3県内のホール団体から加盟ホール向けに発出された文書によると「本呼びかけは、法令に基づく要請ではありませんが」と前置きをしたうえで、「政府からの呼びかけであり、社会の一員として、紳士に耳を傾けていただき、各社、誠意ある対応をお願いいたします」としている。要は団体としての方向性は示さず、各ホールの判断に任せるということ。自粛警察と呼ばれる人にとってはけしからんと思う内容ではありそうだが、これはあくまでも行政側からの「呼びかけ」と同じスタンスであり、法に基づかない以上はこれ以上どうしようもないのが現実だろう。  そもそも休業をお願いするなら保障があってしかるべきであるが、それを放棄したうえで「呼びかけ」という形で済まそうという行政側の姿勢は、もしかしたら自粛警察頼みとも邪推したくなってしまうのは筆者だけではないだろう。
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「お願い」は聞けない業界事情
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