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手元に残るのは月7万円。給料を斡旋業者に天引きされる外国人のリアル

 今や283万人の在留外国人が暮らす日本。コロナ禍で多くの人々が困窮するなか、外国人が置かれた環境は、さらに過酷なものだった。仕事もできず、帰国もできない…そんな彼らの極貧生活に迫る。今回取材したネパールからの在留外国人の男性だ。

斡旋業者が給料を天引き。手元に残るのは月7万~8万円

在留外国人の極貧生活

デベン・バズネットさん(仮名・34歳) バズネットさん(左)と同じ部屋で暮らすルームメイト。「狭いけど、母国の実家よりは快適」とのこと

 近年、ネパール人はベトナム人と並んで在留者が急増。都内のインド料理店に勤めるデベン・バズネットさん(仮名・34歳)もそのひとりだ。日本に来てすでに4年だが、現在も同じ出稼ぎ組のネパール人3人とアパートで暮らしており、生活に余裕があるようには見えない。 「でも、僕が生まれ育った村にある実家は小屋みたいなボロボロの建物でした。電気もガスもなくて、そこに家族8人で住んでいたんです。それに比べれば、今のアパートはトイレもきれいだし、お風呂だってついてます。住み心地はすごくいいですよ」  ネパールはアジアの最貧国のひとつで、平均月収は日本円で1万8000円程度。日本に限らず出稼ぎ先は世界各国に及び、彼らが母国に送金するお金によってGDPの3分の1を賄っている。 「ただ、海外での出稼ぎには国内の斡旋業者に頼むのが一般的。その費用に私は250万ネパールルピー(約220万円)を支払いました。そのお金を用意するために借金したため、毎月のお給料からその返済やアパート代などを引かれます。  手元に残るのは10万円くらい。その半分を毎月貯金して、ある程度貯まったら国の家族に送金している。この仕送りで家族だけでなく、親戚も豊かに暮らせるんです」

インド料理店が閉店

 しかし、借金の完済まであと1年となったころ、コロナ不況に巻き込まれてしまう。店は時短営業を繰り返し、夏を前に閉店。次の勤務先が見つかるまでの1か月間は収入が絶たれた。 「今のお店は同じ斡旋業者に連絡を取って紹介してもらいました。ただ、コロナの影響もあってデリバリーが中心。正直、売り上げはかなり少なく、ここもいつ閉店してしまうかわからない。もらえるお給料も月7万~8万円に減りました。仕送りできる分が少なくなっちゃうのはキツいけど、それでもネパールで働くよりは全然稼げるからいいですね」  そう言って笑うバズネットさん。皮肉にも貧困慣れしているせいか、日本での極貧生活もそこまでつらくは感じてないようだ。
[緊急ルポ]在留外国人の極貧生活

以前勤めていたインド料理店。看板などはすべて撤去され、空きテナントとなっている

<取材・文/週刊SPA!編集部>
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