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時給300~500円!? 破綻寸前な在留外国人と日本の未来

雇用主は加害者でもあり、制度の被害者でも

鳥井:例えばベトナムでは、送り出し機関が制度上禁止されている「保証金」をとっていたり、日本の監理団体も金銭供与などを受けている。 室橋:インドネシアやミャンマーなどは政府が送り出し機関を厳しく監督していて、何か問題があったら罰則を科します。あと外国人労働者からよく聞くのは、日常的に暴力やセクハラが横行しているということ。特に地方の現場に多い。
鳥井一平氏

鳥井一平氏

鳥井:日本の農家の中には使用者としての自覚がない人も多く、セクハラの自覚すらない人もいる。 室橋:労使関係の意識が薄い雇用主も多いですね。監理団体なども手続きだけして、企業に対して技能実習生とはどういうものなのかを丁寧に説明していません。受け入れることのリスクを理解させる必要はありますよね。雇用主は加害者でもあり、制度の被害者でもあります。

制度自体が破綻寸前

鳥井:ただ、経済界や政府内部では、技能実習生制度の見直しや、2019年に創設した新たな在留資格「特定技能」をどうするかなどの議論は始まっています。その背景には、アメリカの国務省による「技能実習生を中心とした被害者救済ができていない」という厳しい指摘がある。
室橋裕和氏

室橋裕和氏

室橋:制度自体が破綻寸前ですから、見直さざるを得ないという流れになってますよね。 鳥井:移民政策そのものを正面から考えなきゃいけないという空気は経済界を含めてあるとは思うんです。そのときに正面向き合って最初に変えなければいけないのが、これらの制度なんです。 室橋:移民社会は世界的に進んでいることですし、そこに手をつけていかないと日本は次に進めないですね。 鳥井:外国からの労働者を受け入れるにしても、対等原則が担保されたまっとうな労使関係を整備していかなければなりません。それを整えたうえで、出稼ぎ労働者や難民のエネルギッシュさを、日本という国ががどうやって吸収して正しい形の国益にしていくのか、それがこれからの日本の課題であり、希望ではないでしょうか。 【鳥井一平氏】 「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)代表理事。2013年にアメリカ国務省より「人身売買と闘うヒーロー」として日本人で初めて選出、表彰された 【室橋裕和氏】 週刊誌記者を経てタイに移住。10年にわたりタイ及び周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のライター・編集者として活動している <取材・文/週刊SPA!編集部>
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