松本人志、マツコ、指原…同じ有名人コメントが溢れるネット記事は、いつまで続くのか
先月9日、松本人志がTwitterでこう呟いたのを覚えている人も多いだろう。
「テレビなど他のメディアコンテンツの概要を記事にする“テレビウォッチ”を始めたのは‘06年のJ-CASTニュース。これが元祖といえますが、以後、取材力を持たない新興ニュースサイトは続々と『この手があったか!』とばかりにテレビ、ラジオ、そして有名人のブログやSNSをニュースソースにするようになります。
’08年には、倖田來未がラジオで『35歳で羊水が腐る』と発言したことを取り上げ、活動自粛にまで追い込んだことで勢いを増し、近年はデイリースポーツやスポーツ報知などのスポーツ新聞が参入して収拾がつかなくなっています」(中川氏、以下同)
ここまで氾濫する理由はただひとつ、「効率よくPV(ページビュー=クリックされたページ数)が稼げるから」に他ならない。
「ネタ元はテレビ局が予算と人員をかけて作り、収録ならば面白い部分のみを編集したコンテンツですから、面白いに決まっている。一方、テレビウォッチはそれを引用するだけなので極めて低コストな上に量産できる。スポーツ新聞系や新興ポータルの中には、テレビウォッチが命綱になっているところも少なくないはずです」
ちなみに日刊SPA!だってPVは稼ぎたいが、テレビやSNS引用だけの記事には手を出せずにいる。虚しくて疲弊するに決まってるからだ。
また、特定のタレントのコメントばかりが取り上げられるのにも、ワケがあるという。
「クリックされるかされないかのネットニュースは見出しが命。そのひとつのテンプレートが『○○が「~~」と発言』という形で、冒頭にくる○○(発言者)の部分にもっとも強いワードがこなくてはなりません。おそらく松本人志やマツコ・デラックスなどPVの稼げるタレントは‟重要指定人物”として出演番組はすべてリスト化され、一言一句をチェックされているはずです」
ネットニュース配信の現場では、過去記事のPV一覧を突き合わせながら会議が行われている。その俎上でもっとも重要なのは、「誰がPVを稼げるか」であり、発言内容や文脈は二の次だと中川氏。
「僕らは見出しを見ただけでそうしたクソ記事をすぐ弾くことができますが、依然としてPVが稼げるということは、その記事を読んで得した気になっている人が多いのでしょう。ですから、今後もタレントの発言でニュースサイトが埋め尽くされるヤバい状況は悪化していくと思います。
これは仕方のないことなので、『とりあえず活字は読める』という日本の識字率の高さに改めて驚くというポジティブな受け取り方をするより他ありませんね」
「ネットニュース。松本。松本。松本。松本…… なんかくれ~」 本人がこう愚痴るのも無理はない。それほど現在のネットニュース界隈は、特定のタレントのテレビコメントやツイートを引用しただけの記事で埋め尽くされている。 『ワイドナショー』の松本人志、古市憲寿、指原莉乃をはじめ、マツコ・デラックス、カンニング竹山、有吉弘行、坂上忍、岡村隆史……そして最近では、ウーマンラッシュアワーの村本大輔。 まるで世の中で記事に値するのは彼らだけかと錯覚するほどの氾濫ぶりである。そんな狂気の沙汰を皮肉った冒頭の呟きもまた、ネットニュースとして配信される無間地獄。ネットニュース。
— 松本人志 (@matsu_bouzu) 2019年2月10日
松本。松本。松本。松本………
なんかくれ〜
こうした現状について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏はこう分析する。
テレビウォッチの氾濫は「PV至上主義」の当然の帰結
松本人志やマツコは一言一句をチェックされている
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