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芥川賞候補作を生んだ尾崎世界観が独白「逃げるように小説を書き始めた」

子供であることが不満だった少年時代

――小説を読んだ尾崎さんのお父さんが、「そういえばこんな子供だったね」と仰ったそうですね。主人公と重なる部分がありましたか? 尾崎:そうですね。子供の頃、「子供であること」に対する不満が常にあったんです。「なんで友達と遊ばなきゃいけないんだ」、「なんで公園に行かなきゃいけないんだ」って。あと、「夜21時以降は起きてちゃダメと言われるけど、寝て起きたら朝になってるってことは、何かが途中にあるはずだよな、それを自分がうかがい知ることができないのはなんでだろう?」とか。  人の悪意をすごく敏感に嗅ぎ取るクセもあって。たとえば「これあげるから遊びに行ってきなさい」とお小遣いをもらったとき、喜びよりも「追い払われた」という感覚が残ったんです。 ――じゃあ、子供の頃はぜんぜん楽しくなかった? 尾崎:「なんで子供をやらなきゃいけないんだよ」と思っていました。子供時代をチャプター画面で飛ばしたいって。中学生ぐらいになると、単純に行動範囲が広がったし、ラジオを聴いたり音楽を好きになったりして、頭の中と体がやっとつながる感覚があったんです。でも小学生の頃は、頭の中だけで考えていて、体でまったく発散できない。人生でいちばんつまらない時期だったんです。 ※2/9発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【Sekaikan Ozaki】 ’84年、東京都生まれ。’01年にクリープハイプを結成しボーカルとギターを担当。’12年にメジャーデビューし、’14年には初の武道館公演を開催。’16年に小説『祐介』を発表するなど活動の幅を広げる。現在、芥川賞候補作となった『母影』が発売中 取材・文/兵庫慎司 撮影/鈴木教雄 ヘアメイク/谷本慧 スタイリング/入山浩章 衣装協力/Pigsty渋谷神宮前店(ビンテージジャケット)・IMAGE CLUB LIMITED(Tシャツ)・Side Car Charlie(USEDパンツ)
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週刊SPA!2/16号(2/9発売)

表紙の人/ 森みはる(26時のマスカレイド)

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