更新日:2021年02月12日 19:34
ニュース

森発言にみる女性の社会進出の難しさ「女だと見るや否やナメてくる」

「結婚して辞める女は多い」に反論

 同じような話で、他の女性から「女というだけで出世コースから外されたり、男性には教える仕事を女性には教えてもらえなかったりする」という話もいただいたことがある。  これも先ほどのように『女は結婚したら辞める』という色眼鏡で見る人がいることを前提にすれば、往々にしてあり得ることだろうと納得がいく。 「でも、実際結婚して辞める女は多いじゃないか」  そんな意見もあるだろう。しかし、それも自分は卵が先か鶏が先かというようなものだなと思う。これだけ女性が働き辛い社会で闘うのだ。そんなに大変な想いをするなら、家庭に入ってしまったほうがいいという女性もいるだろう。  女性は働きにくい→家庭に入る→女性は結婚すると辞めると思われる→女性は働きにくい(以下、負の無限ループ)  といった具合だ。そこから抜け出すには、男性もガンガン育休をとって、主夫になる選択もバンバン増えていって……というのが1番だが、現状まだそんな世の中になってないことは男性の方でもわかるだろう。  森会長の発言はそういう傾向やエビデンスすら提示していないので単なる主観でしかないが、僕はこの発言に女性の社会進出の難しさが如実に現れていると感じる。  83歳というのはあまりに高齢だが、結局のところ、法律が変わったってこうして上に立つ世代の認識が古ければ、「女だから」で仕事をさせてもらえなくなる。  男性がそうであるように、女性がみんな望んで女性に生まれてきたわけではない。例えばこの世の全ての仕事が肉体労働しかなく、体格的な差で女性が働き辛いということならある程度諦めがつく人もいるだろうが、偏見によって仕事が自由にできないのは、あまりに理不尽ではないだろうか。  逆をいえば物質的な問題ではないのだから、考え方さえ変えれば取り除ける不平等ともいえる。「若い世代ではこういう偏見を失くしていこう」ではない。令和になってもう3年だ。気づいたとき、その瞬間が変わるチャンスなのだ。<文/大島薫>
1989年6月7日生まれ。男性でありながらAV女優として、大手AVメーカーKMPにて初の専属女優契約を結ぶ2015年にAV女優を引退し、現在は作家活動を行っている。ツイッター@OshimaKaoru
1
2
おすすめ記事