仕事

コロナ解雇は「正社員だから他人事」ではない。実は非正規より多い実情

―[生き残る会社員]―
新型コロナ発生から1年――。関連する経営破綻は1000件に達し、厚労省によると解雇された人の数は8万4883人に上る。もはや正社員だから、管理職だからと言って安心することはできないのだ。専門家と当事者にサバイバル化する社内競争の実情を語ってもらった。

早期退職&リストラ、雇用契態の変更……不安定化する正社員

生き残る会社員

撮影/杉原洋平

 週刊SPA!が実施した全国の40~50代会社員3000人アンケートで「定年まで会社で生き残れない」と回答した40〜50代は7割近くにも上ったが、その理由として「年功序列の廃止」や「管理職の削減」に次いで挙がったのが「リストラ」だ。組織・人事戦略コンサルタントの麻野進氏は、昨今のリストラ事情をこう語る。 「厚生労働省によると、解雇や雇い止めなど、新型コロナ関連で退職に追い込まれた人は2月1日時点で8万4883人。流行当初は『非正規雇用者が真っ先に失職の危機に瀕している』と報じられがちでしたが、内訳を見ると、半数を超える4万4448人が正規雇用労働者。  つまり、コロナ禍ですでに非正規を上回る正規雇用者が解雇されているんです」
生き残る会社員

昨年2月以降、すでに8万4883人が解雇・雇い止めに遭っているが、実はその半数以上が正規雇用労働者だ

リストラ候補として真っ先に名前が挙がる「部下なし管理職」

 多くの企業のリストラ断行を見てきた麻野氏いわく『企業にとってリストラしやすい社員の優先順位がある』という。 「リストラ候補として一般社員よりも先に名前が挙がるのが『部下なし管理職』。勤続年数が長くなった社員をむげにはできず、管理職とは名ばかりの役職を与える文化が現在まで日本企業に残っています。  企業としては、出世競争の敗者を見かけ上だけでも出さないことで中高年社員のモチベーション低下を防いできましたが、もうそんな悠長なことは言ってられない。半端なポストに就いていて、スキルの割に給料をもらっている40〜50代ほど危ういのです」  そんな部下なし管理職を整理した後、『50代一般社員』『40代一般社員』『年齢に関わりなく成績の悪い社員』の順でリストに名前が挙がるとか。
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リストラを宣告された「部下なし管理職」の男性
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