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呼吸で痛みや恐怖を消し去る!? ロシア軍の格闘技「システマ」とは

ビジネスの世界で瞑想やマインドフルネスが注目を集めるなか、かつてないほど重要性がクローズアップされているのが“呼吸”だ。医学的にも呼吸が心身の健康状態を高め、パフォーマンスを向上させることは証明済み。今回はロシア軍の格闘技「システマ」式の呼吸法について専門家に詳しく聞いた。

呼吸で痛みや恐怖を消し去る!?ロシア軍の格闘技「システマ」とは

呼吸

腕立て伏せ中に通常の呼吸ができるかを訓練中。ナイフを使った特訓も行う

 ロシア軍特殊部隊・スペツナズの隊員教育メソッドだった「システマ」。日本では格闘術のイメージが先行しているが、その基本にあるのは「呼吸」だ。公認システマインストラクター・北川貴英氏にシステマ式呼吸法がもたらす効果を聞いた。 「そもそもシステマは、戦地に赴いた際、一人の犠牲者も出すことなく作戦を成功させることを目指してつくられました。なので、ボディコンタクトなどはあくまで仕組みの一部。兵士たちのパニックやストレスを和らげるためには、呼吸法が何より重要になってきます。そのやり方はごくシンプルで、『空気を鼻から吸って口から吐く』、それだけです」  ただ、システマ式呼吸の練習をする際は、あえて“特殊な環境”に身を置いている。 「たとえば1分間息を止めてみて、体の中にどういう緊張が生まれ、メンタル的にはどういう動揺が起こるのか観察をして、そこから呼吸で回復を図る訓練をします。ほかにも、腕立て伏せの姿勢で体に負担をかけたまま、緊張を緩められるのかなど。非常時でも平常時と同じ呼吸ができていれば、イレギュラーな出来事にも泰然と構えることが可能になるんです」  会社員に置き換えれば、「取引先や上司に詰められる」「大事なプレゼンの当日」などがそれにあたる。判断力が求められる現場でこそ「システマ式呼吸」の真価が発揮されるのだ。では、日常生活でできる練習法とは? 「『ケーキに立てた自分の年齢分のロウソクを一息で吹き消せるか』を試してみては? 年を取れば取るほど呼吸が浅くなるから、それぐらいの強さがちょうどいい練習になるんです」  緊張した状態でも正しく呼吸できれば、周囲に存在する「鬼」にも必ずや打ち勝てるはずだ。

集中力アップの呼吸

肺に酸素をたっぷり取り込んで血液中の酸素濃度を高め、一瞬にして高い集中力と身体能力を手に入れよう! 全集中の呼吸・瞼の型「蒸窩大佐」 交感神経を刺激する光をシャットアウトし、副交感神経を上げ集中力を高めるブレス法。『天空の城ラピュタ』のムスカ大佐が「目が、目がぁ~!」とやるときのポーズを取ること。
呼吸

両手で目を覆ったまま、6秒息を吐き、3秒鼻で息を吸う。これを10セット繰り返す

北川貴英氏

北川貴英氏

【システマインストラクター・北川貴英氏】 システマ東京主宰。著書に『最強の呼吸法』(マガジンハウス)など。ちなみに“システマネタ”を行う芸人・みなみかわは教え子 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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