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飛行機乗り放題チケットの乱発でわかる航空各社の“懐事情”。日本でも

コロナ禍で乗り放題航空券が再燃

エアアジア

エアアジアのエアバスA320型機 機体には「Now Everyone Can Fly(誰でも飛べる)」と描かれる 撮影:北島幸司

 現在、新型コロナウィルスの影響は全世界に広がり、世界のエアラインは特に国際線で壊滅的な打撃を受けている。財政的に厳しい時に、同様の航空券が出てくるのは前述の通り。在庫の効かない商品である航空座席を空にして飛んでいる航空機を何とかして埋めようと、エアラインはあの手この手でキャンペーンを展開する。  世界で最初に動いたのはアジアで最大のLCCエアアジアだ。1年間有効な「Unlimited Pass=無制限パス」として売り出した。長距離便を運航するエアアジアX便も含めて一日2路線までの制限はあるが、499マレーシアリンギット(約1.3万円)という格安で投げ売りしたのは2020年2月29日からという素早さだった。

中国では15万人が利用する人気商品に……

 世界で航空需要が最初に回復傾向となったのは中国だ。コロナの発生国ではあるが、早期に抑え込んだとされる中国は国内線から需要が回復。この需要を大きくしようと手を付けたのは中国三大航空会社のひとつ中国東方航空だ。  2020年6月18日に年内までの週末に国内線を乗り放題で利用できる「Fly at Will(気ままに飛ぶ)」という商品を3,322元(約5万円)で売り出すと、即人気となり15万人が利用するまでの商品となった。  また、同年7月28日には、三大航空会社のもう1社である中国南方航空も「Fly Happily(幸せに飛ぶ)」という名前で乗り放題航空券を発売。平日利用可能で8月下旬から2021年1月上旬までの約4か月利用できる航空券を3,699元(約5.5万円)で売り出した。  中国だけでなく欧米でもこうした乗り放題航空券を発売した航空会社もある。隣国アメリカで感染が大爆発しているカナダは、フラッグキャリアの位置づけのエアカナダが9月になると「The Infinite Canada Flight Pass(カナダ無限回数航空券)」をエコノミークラス1か月2,260カナダドル(18.7万円)と2,825カナダドル(23.4万円)、さらに空席のあるビジネスクラス利用権付き1か月5,650カナダドル(46.9万円)の3種類を売り出した。
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いよいよ日本でも……
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航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing

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